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気を付けろ!「商標」じゃない、それ「意匠」

突然ですが、「商標」と「意匠」の違いはわかりますか?

中国仕入れの基本がノーブランドということはご存じだと思いますが、仕入れようとしている商品が商標登録されていないか、意匠登録されていないかも気にしないといけません。

今回のコラムでは、よく売れるカテゴリのひとつである「自動車のパーツ」を例に、商標と意匠の違いなど取り扱い時の注意点を解説します。

すべてのカテゴリ・商品で応用できる考え方なので、ぜひご自身が取り扱ってる商品に当てはまる箇所はないか考えながら読んでください。


小さい、軽い、壊れにくい人気取り扱い商品

商品の発送準備

Amazonにはさまざまなカテゴリがあって、中国輸入ビジネスでもそのカテゴリで売れる商品を手配できます。
言い換えれば、どんなカテゴリであっても中国輸入ビジネスが成り立つのですが、全部のカテゴリが平均的に取り扱われるのではなく一定の偏りはあります。

その中でも人気と言うか取り扱いやすいのが、できるだけ小さい、軽い、壊れにくいものです。
こういう系統の商品が好まれる傾向にあります。

そういうカテゴリはたくさんありますが、その中でも今回は「自動車のパーツ」について少し解説していきます。

細分化されまくっている「自動車のパーツ」

自動車というと男性が好きで、こだわる人が多く一見めんどくさいカテゴリのように見えますが……まぁ実際、そのとおりです。
やはり車を純正のままで(=買ったそのままの状態で)乗る人が多い中、わざわざパーツを買ってドレスアップしようとするのはこだわっている人が多いのです。

また、車は同じ車種でも何年も続けて販売されていく中でマイナーチェンジ(ちょっと変わる)、フルモデルチェンジ(大幅に変わる)などを繰り返します。
そのため、同じ車種で検索しても年式で形が違っていたり、ひどい時には同じ車種の同じ年式でも前期後期みたいな感じで違っていたりします。

個人的にはなんでそんな細かく変えるかな……と思うのですが自動車メーカーとして何らかの意図があるのでしょう。

また、フルモデルチェンジだと大幅に変わるのでまだわかりやすいのですが、マイナーチェンジだとちょっとだけデザインが違うとか、デザインは違っても取り付けはできるとか、とにかく事細かに細分化されまくっています。

「自動車のパーツ」はめんどくさいけどよく売れる

なので仕入れる際は適合車種を確認するのが超めんどくさいカテゴリです。
なので、めんどくさがりの私はやっていません。

けれども、カテゴリとしてはよく売れて利益率も高い傾向のあるカテゴリなので、めんどくささのハードルを超えると一転してとてもいいカテゴリとなります。

また、めんどくさいといっても全車種が平均的に売れるわけではなく、人気車種はある程度絞られるのでどの車種をやっていくかを絞り込めば比較的やりやすいもの事実です。

「商標」と「意匠」は似て非なるものです

裁判のイメージ

さて、そんなカーパーツですが、実際に商品を手配する時に気をつけていることは何でしょうか。
適合車種はもちろんなのですが、それ以外に気をつけているところは「商標」だと思います。

カーパーツは、内装や外装でも、自動車メーカーのロゴや特定の車種のロゴとかが入っているものは仕入れできません。

ですが、それ以外にも権利侵害になってしまうものがあります。
それが「意匠」です。

意匠とは

意匠とは「(美術・工芸品などで)物品の外観を美しくするため、その形・色・模様・配置などについて、新しい工夫を凝らすこと。その装飾的考案。デザイン」です。

以前に商標について解説した時に名称以外に形状も商標として認められるということを書きました。
ですので、自動車の外装パーツも商標では?と思うかもしれませんが基本的に自動車の外装パーツは意匠です。

詳しい解説は省きますが、形状が商標になっているものは、その形がそのブランド特有のものでそれを見ただけでそのブランドが連想されるもの、です。
例えばコーラの瓶とかエルメスのバーキンとかですね。

それに対して意匠は純粋にそのデザインや形状そのものの権利です。
特許庁のサイトでは、意匠権と商標権について下記のように説明されています。

意匠権
独創的で美感を有する物品の形状、模様、色彩等のデザインを保護
例/美しく握りやすい曲面が施されたスマートフォンのデザイン

商標権
商品・サービスを区別するために使用するマーク(文字、図形など)を保護
例/電話機メーカーが自社製品を他社製品と区別するために製品などに表示するマーク

引用元:特許庁 スッキリわかる知的財産権

ですので、外装パーツの形状について商標をいくらJ-PlatPatの商標にチェックを入れて検索してもヒットしません。

その形状のデザインは「意匠」である確率が高いので、J-PlatPatでも意匠で検索しなければなりません

ただ、めちゃくちゃ数が多いですし、秘密意匠でイメージ画像がないものもあるので、おそらく調べようと思うとかなりの重労働&結局100%はわからない、ということになると思います。

参考:J-PlatPat[JPP]

ヘッドライトの販売には注意

パッとみたところバンパーや車体、ライトが多かったですが、ヘッドライトは車の顔ですので意匠登録も多いのは頷けます。
フォグとか周りの装飾とかカバーとか電球とかがあるけどライトそのものは見かけないのはそういった事情があるのかもしれません。

逆にこういうことを知らないで「お、ヘッドライトは誰も出してないからやれば儲かる!」なんて考えて始めてしまうと大変なことになるかもしれません。

こんなにカーパーツが色々と出品されているのに誰でも思いつきそうな特定のパーツだけがないというのは何かあります。
(単純に儲からないだけかもしれませんが…。)

今、売られているのは大丈夫なの?

はてなマーク

結論から言えば「それはわかりません」。
私は車の開発者ではありませんし、意匠の専門家でもありません。

ですので、大丈夫とは言えないのです。
が、純正品とか純正品と同等みたいな売り方をしていなければ(ちゃんと社外品と書いてあれば)だいたい大丈夫じゃないかな…という程度の考えしかありません。
社外品と書けば何でもOKというわけじゃないです。)

社外品として販売を

なので、大丈夫と言った!みたいには言わないでほしいのですが、ただ、現実問題として個人がAmazonで販売しているレベルで、自動車メーカー側から指摘される可能性がどれくらいあるのかな?と思ったりもします。

なぜなら、フロアマットなんかも意匠登録されているのですが、酷似する形状のフロアマットがAmazonで販売されていたりするからです。
(この先も指摘が来ないとは言い切れないので仕入れても責任は取れません。)

多いのは付属品の出品

ただ、基本的にAmazonで出品されている商品は、特に内装関係が多くてあくまで付属品であることが多く、純正と同じものを交換できるようなものはあまり見かけません。
むしろ、小さな工場やカスタム工場で修理費用を安く済ませるとか、ドレスアップパーツの様な感じで買われることが多そうな商品が散見されます。

ようは、純正品ではなくページ上にも純正品ではないとか社外品とちゃんと明記がしてあって形状も純正ではない、もしくは純正には付属していないようなものであればいいのです。

その商品と同じものか類似品などを取り扱うと、おおよそ意匠に引っかかるようなリスクは軽減できるのではないかと思っています。

そのカーパーツは「自信をもって」売れますか?

スマホと小さい紙袋

私自身は極力そういったリスクは避けたいと思う性分なので、こういう関係の商品を扱うことをそもそも避けてきました。

転ばぬ先の杖が長すぎるのかもしれませんが、慎重派の自分としてはそのくらいでちょうどいいと思っています。
カーパーツは人気のカテゴリでお客様もたくさんいるので、やりたい人が多いというのもわかります。

カーパーツはグレー系の商品

買う側からみても探しやすく、バリエーションもあっていい商品も多いので、取り扱いが完全にブラック・NGとは思いませんが、個人的にはわりとグレー系の商品だと思っています。
カーパーツの販売ページを見ると「取り付け等に関しては自己責任でおこなってください」など責任を取らない旨の記述が目立ちます。

例えば、ドレスアップパーツひとつをとっても、社外品とはいえ車に取り付けた状態で走ります。
雨や雪、猛暑の日もあるでしょう。

また、街中だけではなく高速道路でスピードを出すこともあります。
その時、高速でパーツが外れて飛んだりしたら大事故になるかもしれませんし、そうでなくても危険ということは、運転をしたことがある人であれば想像に難くないでしょう。

自己責任というワードは万能ではない

万が一事故になったときは、「取り付け」が正しかったかどうかの責任もあるので、販売側が悪いとは一概には言えないのも事実です。
ですが、逆に責任がまったくないとも言い切れないのです。

いくらページ上に「自己責任で」と書いていても、もし重大な事故が起きたら自己責任と言っていたという言い逃れはできない可能性が高いと思ったほうがいいです。
自己責任というワードは万能ではありません。

ですが、自己責任は万能ではないと言いましたが「仕入れる側は完全に自己責任」になります。

意匠や責任のことをよく考えたうえで、自信をもって販売できる商品を取り扱っていきましょう。


投稿者プロフィール

梅田 潤
梅田 潤
合同会社梅田事務所代表。1977年生まれ。大阪府出身。副業で中国輸入ビジネスを始め2014年に株式会社オークファンを退社し独立。現在も現役プレーヤーでAmazonの他、国内・海外クラウドファンディングにも取り組みながら、家族との時間を大切にする自分らしく自由な暮らしをしている。最新の著書に『「ゆる副業」のはじめかた 輸入・ネット販売』(翔泳社)

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