「せどりでも確定申告って必要なのかな?」
「お小遣い程度だからバレないかな」
「確定申告をするなら、やっぱり青色申告なの?」
確定申告について疑問を抱えている人も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、本業でも副業でも、せどりで一定額を超える利益がでた際は確定申告が必要になります。
バレるかバレないかで不安を抱えているより、正しい申告をして、安心して生活を送りたいですね。
今回は、中国仕入れをおこなうEC事業者の仕入れから販売までをサポートしているCiLEL(シーレル)が、せどりで確定申告が必要な人や青色申告が有利といわれる理由、青色申告での確定申告の手順について解説します。
2022年に話題になった「副業300万円問題」について気になる方は、こちらの記事をご覧ください。
『副業収入が300万円以下の場合、確定申告は結局どうなるの?』
目次
Toggleそもそも確定申告とは
確定申告は、所得税を納めるために必要な手続きです。
所得税等の確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間に生じた全ての所得の金額とそれに対する所得税等の額を計算し、申告期限までに確定申告書を提出して、源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金などとの過不足を精算する手続です。
引用元:国税庁|所得税等の確定申告とは
会社員であれば、会社が源泉徴収を行い所得税の申告から納税までやってくれます。
個人事業主や給与以外の所得のある人は、個人で所得税の申告と納税をします。
日本は申告納税方式のため、原則全ての納税者は確定申告の必要がありますが、元々会社員で自ら申告したことがない人も多いでしょう。
毎年、2月16日から3月15日までが確定申告の期間となっています。
参考:国税庁|確定申告を忘れたとき
せどりをされる人は、期限内の申告を怠ると延滞税や無申告加算税で通常より多くの税金を納めることになるので気を付けてくださいね。
せどりで確定申告が必要か不要かは所得で決まる
「確定申告が必要な人」と「確定申告が不要な人」は、所得で決められています。
それぞれ確認していきましょう。
確定申告が必要な人
2020年の所得税改正で、納税者本人の合計所得金額が2,400万円以下の場合は基礎控除額が38万円から48万円になりました。
(基礎控除は、納税者本人の合計所得金額によって異なります。)
【参照:国税庁|基礎控除】
国税庁によると、次のような人は確定申告が必要とされています。
(以下、国税庁が公開している資料より抜粋)
1.給与所得がある方
・給与の年間収入額が2,000万円を超える方
・給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える方
・給与を2か所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える方
2.公的年金等に係る雑所得のみの方
・公的年金等に係る雑所得の金額から所得控除を差し引いた結果、残額がある方は、確定申告が必要です。
3.退職所得がある方
・外国企業から受け取った退職金など、源泉徴収されないものがある方は、確定申告書の提出が必要です。
4.1~3以外の方
・各種の所得金額の合計額(譲渡所得や山林所得を含む。)から、所得控除を差し引き、その金額(課税される所得金額)に所得税の税率を乗じて計算した税額から配当控除額を差し引いた結果、残額のある方は、確定申告書の提出が必要です。
参照:国税庁 確定申告特集
つまり、専業せどりで所得が48万円以上ある人や、副業せどりの所得が20万円を超える人などは、確定申告が必要になります。
また上記を満たしていなくても、確定申告の必要があるケースもあるので確認しましょう。
自分の所得額について確定申告の必要があるかないかは、税理士に確認してもらうのが確実です。
確定申告が不要な人
続いて確定申告が不要な人をみていきましょう。
下記に該当する場合は、確定申告が不要になります。
(以下、国税庁が公開している資料より抜粋)
・給与所得の収入金額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除及び基礎控除を除く。)を差し引いた金額が150万円以下で、更に各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円以下の方は、申告は不要です。
・公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉対象となる場合において、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には、所得税及び復興特別所得税の確定申告は必要ありません(年金所得者に係る確定申告不要制度)。
・退職金などの支払者に「退職所得の受給に関する申告書」を提出した場合、一般的に退職所得に係る所得税等は源泉徴収により課税が済むことになりますので、退職所得の申告は不要となります。
参照:国税庁 確定申告特集
特定の要件を満たす場合は、確定申告が不要になることがあります。
たとえば「給与を受けているのは1か所のみで、年収2,000万円以下。副業での所得は、年間20万円以下」といったケースです。
また、確定申告は納めすぎた税金が還付されることもあるため、結果的に確定申告をした方がお得になる場合もあります。
確定申告が不要な人でも、複数の職場から源泉徴収されている人は対象になる可能性があるので、1度確認してみましょう。
「自分は確定申告がいる?いらない?」「こんな場合はどうなるの?」など、わからないときは税理士やお近くの税務署で相談すると安心です。
不用品をメルカリなどで販売した場合は?
利益を得るための事業目的ではなく、家にある不用品をメルカリなどで売った場合、基本的には確定申告は不要です。
洋服や生活用品等の不要品を売却した収入は、所得税の課されない譲渡所得となるため基本的に課税されません。(1点30万円以上の貴金属、美術品等の売買による所得は所得税の課税対象となります)
引用元:メルカリガイド
譲渡所得とは、資産の譲渡による所得のことです。
参考:国税庁 No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法
せどりで得た利益の税金
副業・専業関係なく、利益が20万円を超えると税金の支払義務が発生します。
給与所得のある会社員が副業として利益を得た場合、20万円以下なら納税義務はありませんが、20万円を超えると税金がかかります。
専業として利益を得た場合でも20万円を超えたら納税義務が発生しますが、48万円までは「基礎控除」の範囲で確定申告は不要です。
副業は20万円・専業は48万円を超える利益で税金がかかってくると覚えていただくと良いでしょう。
所得税以外も考慮が必要
確定申告を済ませて納税しても、その後に住民税がかかります。
国税である所得税は税務署が管理して、そのデータを基に地方税である住民税を市役所や区役所が計算します。
住民税の申告まで自分で行う必要はありませんが、所得税以外にも納税が残っていることは覚えておいてください。
せどりと転売は違うの?
せどりについて具体的な話をする前に、せどりと転売の違いについて少しお話しします。
結論からいえば、せどりと転売に明確な違いはありません。
どちらも違法性のない正当なビジネスであることは間違いなく、「せどり=転売」という認識でも問題ないでしょう。
せどりには仕入れ先によって「店舗せどり」「電脳せどり」と呼ばれるふたつの方法があります。
店舗せどりは直接お店に出向いて仕入れる方法で、電脳せどりはインターネットを通じて仕入れる方法です。
それぞれの仕入れ方法にメリットとデメリットがあるので、どちらが良いかは状況や価値観次第ですが、必ず注意するべき点があります。
それは、「店舗せどり」も「電脳せどり」も、仕入れた商品は「古物」に該当するため古物許可証が必要ということです。
メーカーから出荷された後、一度でも他店舗を経由すれば未開封新品状態でも「古物」に該当します。
申請窓口は警察署にあるので、せどりを始める人は古物商許可証の取得も併せて行いましょう。
せどりに含まれる経費
せどりに含まれる経費は、どのような形でせどりをしているかによって異なります。
たとえば、店舗せどりでは店舗を何軒もまわるので、車が必要な場合も多くあるでしょう。
車を使用しているとすると、ガソリン代などの交通費が経費として計上できます。
一方、電脳せどりではインターネットを使用するため、通信費を経費として計上することができます。
ただし注意してほしいことは、どちらも全額経費として計上できるとは限らない点です。
車にしても、インターネットにしても、プライベートで使用することもありますよね。
「どこまでが経費で、どこからがプライベートなのか」の線引きが非常に難しく、認められない可能性もあるのです。
経費については、『副業にかかった費用は経費に「なる?」「ならない?」経費の基礎知識』の記事を参考にしてください。
せどりで青色申告が有利と言われる理由
2022年は、いわゆる「副業300万円問題」があり、副業で得た収入を事業所得として青色申告をおこなうためには、帳簿書類の保存が必要条件となりました。
この章では、せどりでの収入を事業所得として申告できる前提で、青色申告にどのようにメリットがあるかをお伝えします。
最大65万円の特別控除が受けられるから
青色申告では、最大で65万円の特別控除が受けられます。
「控除を受けられる」というのは、税金が65万円安くなるわけではなく、「65万円まで所得税がかからない」ということです。
65万円控除のほかに、55万円控除、10万円控除があり、白色申告に比べて特別控除額が大きいため「節税につながる」「白色申告より有利」といわれています。
「65万円控除」を受けるには「電子申告(e-Tax)」での申告が必要です。
また、e-Taxでの申告の際には事前準備が必要ですので、余裕をもって取り組みましょう。
家族への給料を経費で落とせるから
家族の給与を経費で落とせるのも、青色申告の特徴です。
青色申告には「青色事業専従者給与」があり、15歳以上の家族に対する給料を経費として計上することができます。
青色申告をしている場合にのみ適用されますが、「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必須です。
また、提出期限があるので注意しましょう。
赤字の繰り越しができるから
赤字の繰り越しができる点も、青色申告が有利といわれる理由のひとつです。
青色申告では、赤字を最長で3年間繰り越すことができます。
「損失繰越」というものです。
たとえば、2020年に300万円の赤字が発生したとしましょう。
2021年に100万円の黒字になったとしても、赤字が繰り越されるため200万円の赤字となり、税金の支払いはありません。
翌年2022年にさらに100万円の黒字になったとしましょう。
それでも、赤字の繰り越し額200万円分があるので、100万円の赤字となり税金は発生しません。
さらに、翌年の2023年に100万円の黒字になると、赤字額は0円になりますね。
すると、2024年に100万円の黒字になったとき、100万円に税金が課せられます。
ビジネスを始めるときは、さまざまな費用がかかるので、赤字になることもあるでしょう。
それを繰り越せるのは、事業継続にとってプラスですよね。
最長で3年の赤字の繰り越しができる特典は白色申告にはないため、青色申告が有利とされています。
せどりの確定申告をしなかった場合どうなる?
所得税の確定申告とは、1年間の所得(売上から経費を差し引いた額)にかかる税金を計算し、国に納める税額を報告する手続きです。
仮に、確定申告をしなかった場合には、次のようなペナルティが課せられる場合があります。
【ペナルティの例】
・納める税金に無申告加算税がかかる
・納める税金に延滞税がかかる
・青色申告特別控除の枠が、最大65万円から最大10万円に減額される
・2年連続で提出が遅れると、青色申告の承認が取り消しになる
「脱税」のペナルティが課せられたり、倍の税金を納めなければならなくなるのは避けたいですよね。
「しなくてもいいかな」「バレなければ大丈夫」と考えるのはやめましょう。
確定申告は、特例を除いて必須です。
詳細は国税庁ホームページでご確認ください。
確定申告の手順
青色申告の確定申告について、手順を紹介していきます。
この機会に確認しておきましょう。
開業届を出して青色申告承認申請書を届け出る
青色申告をするには、2つの書類を税務署に提出します。
・開業届「個人事業の開業・廃業等届出書」
・「所得税の青色申告承認申請手続」
開業届は、最寄りの税務署でもらうか、国税庁のホームページからダウンロード・印刷しましょう。
書類に必要事項を記載していきます。
記入が完了したら、税務署に届ける、または郵送しましょう。
次に、青色申告承認申請書を提出します。
青色申告承認申請書は、申請期間が決められていますので注意してください。
・1月1日から15日までに事業を始めた場合は3月15日までに提出
・それ以外の期間は、開業から2か月以内に提出
上記期間を過ぎてしまうと青色申告の受付ができなくなってしまいます。
帳簿の記載や必要書類を集める
申請が終了したあとは、コツコツと帳簿をつけていきましょう。
3ヵ月に1回、半年に1回…と帳簿をまとめてしようとすると、手間がかかって大変です。
ためすぎないように心がけましょう。
仕訳の仕方や書き方がわからない人、手間をできる限り省きたい人は、会計ソフトをうまく活用するのも良いですね。
会計ソフトに入力すれば、ソフトが自動で計算してくれるため、細かな計算を自分で行う必要がなく便利です。
1からすべて自分でおこなうよりも、比較的楽に書類を作成できるでしょう。
せどりの仕入れや経費になるレシート、領収書や源泉徴収票などは、しっかり保管・管理しておくことが重要です。
紛失してしまうと証明ができなくなるため、ファイルなどにつづっておきます。
書類を作成する
1月1日から12月31日までの記帳と、必要書類の準備が整ったら、確定申告書と青色申告決算書を作成していきます。
青色申告決算書は4枚セットになっています。
1~3枚目は損益計算書、4枚目は貸借対照表です。
確定申告書はAとBがあります。
・申告書A:給与所得、雑所得、配当所得、一時所得のみに対応
・申告書B:すべての所得に対応
申告漏れにならないよう、申告書のタイプを確認してから記入しましょう。
確定申告の記入も、会計ソフトを利用すると便利です。
わからない部分があったり、不安だったりする場合は、お近くの税務署に相談してみましょう。
丁寧に教えてもらえますよ。
また、思いきって税理士に依頼するのもひとつの手です。
税理士はその道のプロなので安心して任せられるでしょう。
会場に提出またはe-Taxで送信する
申告書記入のほか、源泉徴収票や控除関係書類、マイナンバーカードのコピー添付などが終了したら、いよいよ申告です。
申告方法は3パターンあります。
1.申告会場へ持参する
2.管轄の税務署に郵送などで送付する
3.e-Taxで送信する
申告会場は、管轄の税務署や、地域で何か所か申告会場を設けられているのでチェックしましょう。
職員の人に不明点を相談すると、その場で教えてもらえます。
最大65万控除を受けたい人は、e-Taxでの送信となりますが、e-Taxは利用開始のための手続等が必要です。
あらかじめ準備しておくようにしましょう。
詳しくは国税庁のホームページでご確認ください。
申告書の提出が完了したら、確定申告の手続きは終了です。
確定申告は期限が決まっているので、うっかり遅れることのないように注意しましょう。
まとめ
せどりでの確定申告について解説しました。
面倒だと感じる人も多い確定申告ですが「申告しなくてもバレないだろう」と安易に考えていると「脱税」になりかねません。
反対に「いかに節税できるか」を考えるあまり、収入に対して明らかに経費が多い、前年に比べて一気に経費が増えたといった「不自然な申告」も、税務署から指摘される可能性があります。
質問・指摘された際にしっかり説明ができるよう、ご自身で申告内容を理解したうえで申告しましょう。
最も重要なことは「正しく申告すること」です。
わからない場合や詳しく話を聞きたい場合は、最寄りの税務署や税理士に相談を。
インターネットなどでも情報は載っていますが、法律にも関わってくる部分なので、やはりその道のプロに聞くのが確実です。
確定申告の時期には、税務署が「無料相談会」を設けていることもあります。
こうしたサービスを積極的に利用して、税に対する正しい知識を身につけていきましょう。
中国仕入れ代行サービスのCiLEL(シーレル)では、毎年秋頃と2月頃に、確定申告準備セミナーを開催しております。
中国から輸入仕入れをおこなっている場合、CiLELでもお力になれることがあるかもしれませんので、一度お問い合わせくださいませ。
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