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Amazon出品者と購入者の両面から考える「不正レビュー」のリスク

このコラムでは、Amazonの「レビュー」について、これまで何度か書いてきました。

Amazon出品者として「早期レビュー取得プログラム」を使った結果公開!

【サクラレビュー対策】Amazon商品レビューの新機能はコレ

【サクラレビュー対策 第2弾】「カスタマー評価」のメリット・デメリット

古い記事もありますが、このコラムでは、「不正レビューに加担するリスク」についてお伝えしてきています。
出品者としてはもちろん、購入者としても、いわゆる不正レビューに加担することにはリスクがありますし、そして割に合いません。

今回のコラムでは、不正レビューに関わることの新たなリスクと、レビューについての筆者の考えをお話しします。





Amazon不正レビューのリスクについておさらい

説明する女性の画像

不正レビューに関わると、どのようなリスクがあるのかおさらいしましょう。

出品者として不正レビューを集めたりすると、アカウントが閉鎖になってAmazonで販売ができなくなってしまう恐れがあります。

購入者として不正レビューをおこなうと、不正レビューをすることによって購入アカウントが閉鎖されて、買い物ができなくなってしまいます。

購入アカウントが閉鎖されると、今後出品したくなったとしても、出品ができなくなります。

いったん不正レビューに加担してしまうと、そのレビューがほぼ永久に残り続けてしまうことが、不正レビューの怖さでしたね。

Amazon不正レビューの新たなリスク

リスクという文字の画像

加えて、個人情報に関するリスクもでてきました。

Amazon偽レビュー投稿組織に関わったユーザーの個人情報、約20万人以上が流出(OTONA LIFE)

これは、「ある公開データベースにあった、Amazonの偽レビューの投稿に関与したとみられる人の個人情報が20~25万人分も流出した」というニュースについて書かれた記事です。

流出したのは、メールアドレスのほか、Amazonのプロフィールなどの個人情報だそうです。

Amazonの利用ができる・できないの話ではなく、個人情報が世界中にばらまかれてしまったわけです。

これは怖いですよね。
Amazonの不正レビューに関与することは、この上ないリスクの塊だと言わざるをえません。

不正レビューが減らないのは、もちろん売上アップが期待できるという状況もありますが、不正レビューを依頼する方も受ける方も、こういったリスクに対しての認識が甘いことも一因だと思います。

あなたが不正レビューに関与しないのはもちろん、周りの人を不正レビューに関わらせてしまうことがないようにしなければいけませんね。

不正レビューに関与した個人情報はAmazonも見ていた!?

虫眼鏡でチェックする画像

ここからお話するのは筆者の推測だとご了承いただいたうえでお読みいただきたいのですが、おそらく「不正レビューに関与した個人情報はAmazonも見ている」と思います。

不正レビューの発覚と同時期に削除された商品たち

Amazonがそう公表しているわけではないので、そう言い切れるわけではないですが、Aukey(オーキー)という、そこそこ有名なスマホ周辺機器メーカーの製品がAmazonから削除されました。

その時期が、個人情報が流出した時期と非常に近いことから、Amazonもこの流出したデータを使い、不正レビューに関与していた業者の調査をおこなった可能性があります。

Amazonから削除されたのはAukeyだけではありません。
その他の様々な中国企業の商品が削除されています。

アカウント凍結が最大のリスク

こんな記事もあります。
Amazonのサクラレビュー対策でアカ凍結された中国の越境EC会社、売上が45分の1に(PC Watch)

記事によると、Aukey以外にも多くの企業の商品が削除され、売上に大きな影響が出ており、従業員が辞めたり事業そのものを縮小したり、中には倒産に至った企業まであるようです。

有裸樹という会社は、専門のチームを組んで、アカウント凍結解除および資金回収の交渉をAmazonとしているものの、商品は差し押さえられ、現段階では望み薄だそうです。

天下のAmazonです。
Amazonがここまでの対応をしたのですから、そう簡単に復活はできないでしょう。

ビジネスが止まってしまうのは、最大のリスクです。

不正レビューを書いてもらって何とか売上を保っているようなやり方は、とてつもないリスクを抱えているとわかりきっているはずなのに、そのビジネス・物販の何が楽しいのでしょうか。

筆者は不思議です。
「なぜ、金儲けだけを目的にすると、何の楽しみも無い後ろ向きのビジネスをしてしまうのだろうか?」と思います。

さすが、しぶとい不正レビュー

コンクリートの隙間に生えている草の画像

日に日にAmazonの不正レビュー対策が厳しくなる中、「不正レビュー業者」もまた、次々と新しい方法で不正レビューを集め続けています。

以前は「Facebookのグループなどで呼びかけて興味を持った人に商品を販売し、レビュー後に返金」という形が多かったのですが、Amazonの不正レビュー対策によってその方法が使えなくなると、次は商品の中にチラシを入れて、そこでレビュー依頼をするという方法に変わってきました。

チラシで依頼される不正レビュー

チラシでの書き方もいろいろです。
筆者の勝手な分類ですが、以下のようなものがあります。

①直接依頼型
例:レビュー☆5を入れた人には、買ってくれた商品をプレゼントします

②誘導型(チャート図をイメージしてください)
例:商品に満足した⇒レビューを入れてください/商品に満足しなかった⇒出品者に連絡してください⇒対応に満足した⇒レビューを入れてください

③間接依頼型
例:商品が良いと思ったらご意見をください

④カモフラージュ型
例:商品の感想をお聞かせください

「レビュー」と明記しているものから、良いレビューの依頼と断言するのは難しい表現まで、さまざまですね。

レビューへ誘導する行為は禁止!

問題は「このような手法がAmazonの規約に違反しないかどうか」です。

レビューを目的として金品を渡す行為は規約で禁止されていますが、これと同様に、良いレビューを書くように誘導する行為も禁止されています。

となると、①②は完全にアウトです。
③についてもおそらくアウトの可能性が高いと思います。

④については「感想をお聞かせください」なので大丈夫かもしれませんが、判断するのはAmazonなので何とも言えないですね。

「規約違反スレスレのレビュー依頼をおこなうことにどれほどの価値があるのだろうか?」というのが、筆者の率直な感想です。

リスクとリターンを考えると、明らかにリスクの方が大きいと思います。

“疑わしきは罰する”のがAmazonです

腕組みをする男性の画像

筆者もAmazonに出品している立場です。
Amazonのレビューは売上に直結しますので、何とかしてレビューを獲得したい気持ちは理解できます。

Amazonは出品者の規約違反に厳しい

ですが、Amazonが急にレビューについての規約を変更する可能性もありますので、やはり不正レビューと判断される可能性のある行為はしないのが一番だと思います。

仮に、テクサポ(Amazonテクニカルサポート)に確認してOKをもらっていても、アカウントスペシャリストが規約違反と判断すればそれまでなのです。

ひとつ、筆者がAmazonの取り締まりの厳しさを痛感した事例をご紹介します。

先日、ある人から「知人が誕生日のバルーンセットをAmazonで取り扱っていたらしいのだが、それの画像が規約違反という事で削除されたのでどうしたらいいか」という相談を受けました。

誕生日のバルーンセットは内容が多くなってしまうので、Amazonの規約を守って画像の背景を白くしても、その部分がほとんど無い(見えない)ことがあります。

Amazonはそれを「背景が白くないのは規約違反」として削除したのです。

出品者側としては、規約を守った画像を使用していたのに、「規約違反」と言われてしまったのですね。

画像をよく見ればわかるものだったのですが、この場合はおそらく機械的に判断したと思われます。

相談をくれた人には、「テクサポを通じて正当性を主張して、修正してもらうように」と助言しました。

結局、数時間後には復活したので一件落着となりましたがAmazonがどのように規約違反を判断しているかについて、私たちはよくよく理解しておかないといけません。

不正レビューの依頼なら一発アウトだったかも…

この事例のポイントは、「誕生日のバルーンはセット商品が多くて、背景が白かどうかの判断が付きにくい」という状態であることを、Amazonが規約違反と判断したことです。

Amazonは「背景が白かどうか疑わしい⇒削除しよう」という動きをしたのです。
「黒ではないからスルーしよう(削除しない)」ではありません。

今回の事例は画像だったので事なきを得ましたが、おそらくレビューだったら一発でアカウント停止でしょう。

「不正レビュー」は今、Amazonが最も神経をとがらせている事案といっても過言ではないからです。

今回の画像のように正当性を訴えても、それが聞き入れられる可能性は限りなく低いでしょう。

レビューはお客様におまかせするもの

オンラインショッピングをしている画像

筆者としては、レビューを集めるために規約違反スレスレのことを考えるより、お客様におまかせする方が良いように思います。

レビューを依頼するチラシを同封することは、出品者として不正レビューの依頼を疑われるリスクになるのはもちろんですが、実は購入者にもリスクを負わせていることになるのです。

仮に、「商品の感想をお聞かせください」というチラシの表現について、Amazonが規約違反と判断した場合、そのチラシを見てレビューを書いてしまった購入者は「不正レビューに関与した人」になってしまうかもしれないのです。

堅実に長くビジネスを続けていきたいと思ったら、そのようなリスクのある行為は避けるべきだと、筆者は考えます。

自分にもお客様にも誠実に。

「このくらいなら大丈夫だろう」という考えを捨てて、ビジネスをおこなっていってほしいと思います。


投稿者プロフィール

梅田 潤
梅田 潤
合同会社梅田事務所代表。1977年生まれ。大阪府出身。副業で中国輸入ビジネスを始め2014年に株式会社オークファンを退社し独立。現在も現役プレーヤーでAmazonの他、国内・海外クラウドファンディングにも取り組みながら、家族との時間を大切にする自分らしく自由な暮らしをしている。最新の著書に『「ゆる副業」のはじめかた 輸入・ネット販売』(翔泳社)

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