「輸入」といっても様々な呼び名があります。
個人輸入、小口輸入、法人輸入、大口輸入、その他には、商業輸入、業務輸入、商用輸入などなど、いろんな言い方をしますよね。
では、本当のところそれらは「正規輸入と並行輸入」のような明確な違いが全てにあるものなのでしょうか。
B/Lやアライバルノーティスのような専門用語はどこでも呼び方は同じですが、輸入の名称に関してはどうなのかを解説していきます。
目次
Toggle小口輸入と個人輸入、法人輸入と大口輸入の違い
個人輸入と小口輸入についてですが、イメージ的には「個人が少量を輸入するもの」という感じがしますね。
それに対して、法人輸入や大口輸入となると、主に企業が商売目的で大量に輸入する場合に用いられる感じがします。
何となくですが、小口・個人は一般個人の輸入、大口・法人と言われれば企業の商売用の輸入(商業。業務、商用輸入も同じ)と区分けできそうな気がします。
その理解で合っているのでしょうか?
結論から言うとそれば間違い
結論を先にいってしまうと「小口・個人輸入が個人使用、大口・法人輸入が商用目的」というのは間違いです。
というよりも、そもそも輸入自体の名称で区分けされることはありません。
特に規定も専門用語もありませんので、一般的な様々な名称に意味はありません。
ただ、それぞれが使いやすいように使っているだけに過ぎません。
唯一の例外は「個人輸入」です。
これは、「輸入した本人が自分のためだけに使用することを目的としたもの」を意味しますので、個人輸入で輸入したものは、販売はもとより他の人にプレゼントしたり譲渡することもできません。
個人輸入と商用輸入の線引きについては、こちらの記事をご確認ください。
『個人輸入と商業輸入の線引きはどこ?ケーススタディ付きで解説!』
「個人輸入で稼いでいます」はあり得ない
例えば、ある人が「個人輸入で稼いでいます!」と言ったとします。
さきほどご説明したように、「個人輸入」には明確な意味がありますから、「個人輸入で稼いでいます」と言うと「個人が個人使用目的で輸入している商品を販売し稼いでいる」という意味になってしまうので、注意が必要です。
もし、本当にその通りなら、不当に安い関税率の計算で輸入し利益を得ていることになりますので、法規制の対象です。
不当に安い関税で仕入れた場合、それはアンダーバリューとなり、いわゆる脱税行為です。
些細な言葉の違いかもしれませんが、分かる人が聞けばギョッとする内容なので、「個人輸入」の使い方だけはご注意ください。
「個人輸入」以外は何?
「個人輸入」が、輸入した本人が自分のためだけに使用することを目的に輸入したものであれば、小口、大口、法人、商業、業務、商用などの名称にはどんな意味があるのでしょうか?
特に定義はありませんが、輸入する量や、輸入後に販売することなど、「どういったことを目的にして、どのような輸入をしているか」で使い分けられることが多いようです。
つまり、小口や大口というのは輸入量の話ですよね。
少量を輸入する場合に「小口輸入」と言ったりします。
また、商業輸入や商用輸入は、輸入したものをどこかに販売することを前提としている言い方になります。
例え少量であっても、輸入する目的が販売であれば法規制の対象となり、関税の計算方法ももちろん変わってきます。
また、販売が目的である以上、消費者(購入者)の安全確保が必要になりますので、個人輸入では必要なかった輸入に関する手続きも発生してきます。
例えば、幼児用のおもちゃであれば、食品衛生法に関係してきます。
幼児用のおもちゃを輸入する場合は、検疫を行い、有害なものが含まれていないかを証明しなければいけません。
「個人輸入」以外に大きな違いはない
「輸入」の言い方についていろいろとご説明をしてきましたが、まとめると、輸入に関する名称には「個人輸入」以外に大きな違いはありません。
「個人輸入」には明確な定義があります。
個人輸入は、輸入する人が個人で、輸入者本人の個人使用のみを目的としています。
「個人輸入」以外の言い方は、いろいろなものがありますが、すべて不特定多数の人への販売(配布)が目的になります。
販売目的で輸入しているのなら、小口でも大口でも商用でも業務輸入でも、呼び方は何でも良いのです。
輸入の種類は「個人使用か販売目的かの2種類しかない」と覚えていただくと良いと思います。
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