これまでビジネスを行う際には、B2C(BtoC)やB2B(BtoB)という言葉が頻繁に使われてきました。
簡単にいえば、B2Cとは「Business to Customer」の略で企業と一般消費者との取引のことを指します。
スーパーやAmazonで個人的に日用品や化粧品を買うことはB2C取引に該当します。
それに対して、B2Bとは「Business to Business」の略で企業同士の取引のことを指しています。
例えば、自動車部品のメーカーはエンジンのパーツなどを自動車メーカーに納品しますので、法人同士の取引となりB2B取引に該当します。
では、今回取り上げた「D2C」とは、一体何を指しているのでしょうか?
いま話題となっているD2Cビジネスについて紐解いていきます。
目次
ToggleD2Cビジネスとは一体なに?
D2Cビジネスとは、「Direct to Consumer」の略で、直訳すると「消費者とダイレクトに繋がる」となります。
意味としては、メーカーが中間流通を介さずに自社ECサイトなどを通じて、製品を直接消費者に販売するビジネスということです。
これまで一般的にメーカーといえば、メーカーが製造を行い商社や小売店が販売を行う形が主流でした。
家電製品は良い例ですが、SONYやHITACHI、Panasonicはメーカーとして製造をしていますが、基本的に販売しているのは家電量販店や町の電気屋さんです。
簡単に言えば、今までとメーカーの立ち振る舞いが変わってきたという話になります。
しかし、ただ消費者に直接製品を届けるだけという非常にシンプルな話にも関わらず、一体何がここまで注目される原因となっているのでしょうか?
次からはD2Cビジネスについてより深くお話していこうと思います。
D2Cのビジネスモデルに注目が集まっている理由はなぜ?
D2Cがビジネスモデルとして注目を集めている理由として、大きく分けて3つの要因があります。
自由度の高く制約が一切ない
まず一つ目が、自由度が高いということです。
D2Cビジネスでは企画・製造から販売まで全て自社で行うことになるので、販売店に何かを課されたり、ECモール(Amazonや楽天市場等)の規約を厳守する必要もありません。
商品ページの構成から魅せ方、販売の仕方にいたるまで、全てを自由に組み込むことができます。
D2Cのブランドに込めた想いやターゲット層の方に向けた熱いメッセージなどを思う存分に伝えることができるのです。
一般的にD2C企業の多くは、ブランドイメージやコンセプトを自社サイトのファーストビュー(ページを開いた時に最初に目にする箇所)でしっかり訴求しています。
収益性は青天井で億単位の売上を狙える
次に二つ目が、非常に高い収益性です。
D2Cビジネスでは消費者とダイレクトに繋がるため中間マージン等も発生しません。
製品そのものに予算を割くことができるため高い品質を維持しやすくなります。
高い品質と消費者が求めるブランドイメージを安定的に保つことで、新規顧客をリピーターに繋げ、継続的な売上に結びつけることができます。
新規顧客をリピーターにどれだけ引き上げることができるかが、このビジネスの肝となります。
新規顧客の獲得にはリピーター獲得のおよそ5倍の費用がかかると言われています。
一度購入してくれた消費者の方にどれだけファンになってもらえるかで、D2Cビジネスの売上は大きく変わってきます。
データを活用しPDCAを素早く実行できる
最後に三つ目が、データを活用してマーケティングに活かせるということです。
D2Cビジネスの最大の特徴である消費者とダイレクトに繋がるということは、いわばその消費者の情報や流入経路など全ての情報を入手できることを意味します。
顧客の属性を知ることで商品ページの改変もしやすくなりますし、流入経路を知れば、その流入経路に予算を大きく割くこともできるようになります。
そして、ただ情報データを得られるだけではなく、D2Cビジネスは消費者とダイレクトに繋がっているからこそ、消費者から直接製品についての意見を吸い上げることもできます。
実際に利用している消費者から直接感想を聞き、時には新商品のサンプルモニターを行ってもらうなど、商品改良、商品開発にも活かすことができます。
D2Cビジネスで立ちはだかる壁3つ
これまでD2Cビジネスの魅力についてお伝えしてきました。
これをお読みのあなたも薄々気付いていることと思いますが、D2Cビジネスは言ってしまえば絵空事のようで、実際に取り組もうとすると非常に高い3つの壁が立ちはだかります。
D2Cビジネスで立ちはだかる3つの壁がこちらです。
・莫大な集客コストがかかる
・高い商品力とコンセプトが求められる
・緻密なマーケティング戦略が必要
3つの壁のなかで、最も懸念される点としては、やはり集客コストです。
AmazonなどのECモールに出店する場合と比べると、5倍〜10倍の集客コストがかかることも珍しくありません。
誰も知らない無名のD2Cブランドを、誰も知らない無名のD2Cサイトから購入してもらう必要があるため、非常にハードルも高くなっています。
D2Cビジネスで成功している企業を紹介
ここで、D2Cビジネスで実際に成功している企業の実例を見てみましょう。
COHINA(コヒナ)
150cm前後の小柄女子のためのファッションブランドCOHINAです。
COHINAでは開業当初から毎日LIVE配信を行っていて、LIVEでの販売はもとより、顧客とダイレクトに繋がることに重きを置いて事業を行っています。
BULK HOMME(バルクオム)
木村拓哉さんのCMでお馴染みのメンズスキンケアブランドBULK HOMMEです。
大手企業が数多くいるスキンケア市場で、またたく間にシリーズ累計出荷本数1,000万本を達成し、メンズビューティー市場の拡大にも繋がっています。
FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)
D2Cビジネスを日本でもいち早く取り入れた、オーダースーツのFABRIC TOKYOです。
実店舗もありますが、実店舗では販売を一切行わず、採寸のみを行っています。
採寸データを採っておけば、スマホからでもコスパよく高品質なオーダーメイドスーツを購入することができます。
bloomee(ブルーミー)
テレビCMでもお馴染みの、お花の定期便を提供するbloomeeです。
ビジネスモデルとしても完璧な内容になっており、生花という明確な期限付きの商材のため、早いサイクルの再購入となり高い継続率を誇っています。
Koala Sleep(コアラスリープ)
オーストラリア発のマットレスのD2Cブランドです。
ワインを注いだワイングラスをマットレスの上に置き、その横に大男が飛び乗ってもこぼれないという衝撃のマットレスを販売しています。
D2Cに隠されたビジネス成功要因
先述したD2Cビジネスの企業だけではなく、昨今、数多くのD2Cブランドが存在します。
なかには成熟した市場や大手が数多く参入している市場であっても、しっかりと売上を伸ばし成功企業の仲間入りをしているD2Cブランドも年々増えていっています。
本来、大手企業が数多くいる市場で、シェアを大きく奪うことは到底できることではありません。
そんななか、なぜこれほどまでに多くの企業がD2Cビジネスで成功しているのでしょうか?
じつは、D2Cビジネスで成功する企業が増えている背景に、隠された成功要因が存在したのです。
中小企業が勝ち大手企業が撤退するビジネスモデル
D2Cビジネスの成功要因として、最も顕著なのは、中小企業が勝ちやすいビジネスモデルということです。
D2Cビジネスとは「Direct to Customer」というお話を冒頭でしましたが、まさにこの点が中小企業の勝機となります。
消費者とダイレクトに繋がれるということは、その人に寄り添った最適な提案や商品開発などスピーディーに事業を行うことができます。
いわば消費者と一緒に作っていけるブランドと言い換えることもできます。
そういったメリットがある一方、大手企業にとっては、上司の確認や稟議を通す必要があるなどスピードが1手2手遅くなりがちです。
顧客対応についても、臨機応変な対応というよりも、ブランドイメージがあるためマニュアルを徹底する方向にもなりやすくなっています。
一概に言えるわけではありませんが、D2Cビジネスの最大のメリットは小さな会社こそがその真価を発揮しやすい状況となっています。
資金調達がしやすい屈強なビジネス
そしてもう一つのD2Cビジネスの成功要因としては、資金調達がしやすいという点です。
この資金調達とは、銀行などから借りる融資もそうですが、その多くは投資家や関連機関からの投資です。
「D2C 資金調達」などとWebで検索をすると、驚かれるかもしれません。
「2億円の資金調達に成功した」「35億円の資金調達ができた」などと、ビックリする金額が数多くの企業に投資されています。
これだけ多額の金額を投資してもそれ以上のリターンが見込めるビジネスがD2Cビジネスなのです。
もちろん億単位の資金調達を受けるには、専門家による指導や相応の資料も必要にはなりますが、現実的に莫大な資金調達が可能というのは非常に大きな魅力の一つかと思います。
まとめ
この記事では、D2Cビジネスの概要と成功企業についてお話してきました。
CiLELが普段お伝えしている中国輸入とは少し違った内容で、規模感的にもかなり大掛かりなものとなってしまいましたが、いかがでしたでしょうか?
実際に中国輸入から事業を始めて、D2Cビジネスに移行していっている企業様も数多くいらっしゃいます。
情報の一つとして何か一つでも得てもらえれば嬉しく思います。
今回の記事をまとめますと、まず最も重要なこととして、D2Cとは消費者とダイレクトに繋がるビジネスということです。
消費者の声を直接聞くことはもちろんのこと、密なコミュニケーションや取得したデータの活用など、できることは無限にあります。
D2Cビジネスのメリットとして、下記3つがあります。
・自由度が高く制約がない
・非常に高い収益性
・データを収集できる
この3つのメリットを最大限に活かすことができれば、大きな収益を得られる可能性が高くなります。
しかしながら、集客コストやマーケティング技術が必要など、非常に難易度が高いのもまた事実です。
既に成功しているD2Cの企業を分析することで、成功の糸口が見つかるかもしれません。
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