日本の輸入業者から商品を仕入れる場合、そのほとんどは業者が輸入する段階であらかじめ法令等に遵守しているか確認した商品であり、また各種の申請や許可が済んでいるものです。
その為、そういった業者から仕入れる場合には特に何の確認もなく仕入れた商品をそのまま販売することができます。
しかし、自分で海外から商品を仕入れてくる「輸入ビジネス」をする場合には自分で法令を遵守し、許認可申請を取得しないと販売はできません。
当然のことながら海外と日本では法令が異なりますし、海外では法的に大丈夫でも日本ではダメなことはしょっちゅうあります。
また、日本国内に持ち込んではいけないもの(植物等)がありますので誤って仕入れてしまうと返品は非常に困難な為、結果として大きな損害となってしまいます。
そもそも輸入する前に「取引」自体が禁止されているもの(ワシントン条約関係等)は論外ですが、それ以外のついうっかり違反しやすい法令について解説していきます。(既出の法令と重複するものもあります。)
目次
Toggle食品衛生法
食器、調理器具、キッチン家電など「食品に直接触れるもの」が規制の対象になります。
具体的には、皿やコップといった食器、鍋やフライパンといった器具のほか、おたまやフライ返しなどの道具、ミキサーやジューサー、といったものも対象です。
(なお、キッチン家電の場合は食品衛生法+電気用品安全法の規制対象となります。)
合わせて、幼児用玩具も食品衛生法の対象となります。
商品の使用年齢が5歳以下を想定したおもちゃは、子供がおもちゃを口に入れてしまう可能性があることから規制の対象になっています。
海外の知育玩具は日本でも非常に人気のある商品ですが、実際に輸入しようとすると食品衛生法に基づく輸入手続きが必要です。
管轄官庁は「厚生労働省」
医薬品医療機器等法(薬機法=旧:薬事法)
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止をする為の法律です。
個人輸入でよくあるのが、海外で非常に効果が高いとされる風邪薬や滋養強壮剤、また海外で評判となっている化粧品などです。
これらは個人使用の範囲では、医療機関関係のもの以外では輸入に規制はありません。
(ただし、輸入できる個数は制限があります。)
しかし、販売目的として輸入する場合はそもそも販売者としての申請をして、許可を得てからでなければ販売できません。
医薬品等の個人輸入について
例えば、食品衛生法の皿のように許可さえもらえればOKというわけではありません。
また、仮に売買許可を得て、輸入販売ができたとしても、薬機法は商品だけではなく商品説明や広告の表現にも非常に細かい規制があります。
薬事法ルール集
例えば、効果効能を断定するような「痩せる」といった表現はできませんし、消費者の体験談には客観的なデータの裏付けが必要です。
管轄官庁は「厚生労働省」
電気用品安全法
電気用品の安全性の確保するために日本国内で販売される電気用品は基準適合義務、特定電気用品の適合性検査をクリアする必要があり、それらを規定した法律です。
クリアした場合はPSEマークを表示し安全を確保した商品であることを明示することができます。
輸入する商品も当然ですが、基準適合義務、特定電気用品の適合性検査をクリアしなければなりません。
逆にクリアせずに販売した場合、電気用品は安全性の確保ができていない為危険や障害を及ぼす恐れがあり、違法行為となりますのでこのような商品の販売は行わないようにしてください。
また、電気用品安全法は国内法になりますので、海外の製品で電気用品安全法に基づく適合性検査をクリアしている商品はほぼ無いと言っても過言ではありません。
一部、クリアしている商品がありますが検査結果等を確認してきちんとクリアされているのかを確認してください。
ちなみに、中国では「PS」マークが付いている商品を売っていることがありますが信用してはいけません。
必ず本当に「PSE」を取得したのかどうか確認してください。
電気用品安全法は電気に関わる重要な規制です。
「大丈夫だろう」といって安易に販売すると最悪の場合、火災や火傷など重大な過失責任を問われることにもなりかねません。
管轄は「経済産業省」
最後に
輸入する商品には何らかの規制があります。
例えば、下記のような資料もありますが、全てを把握するのは非常に困難です。
【ヤマト運輸(ヤマトグローバル ロジスティクスジャパン)】
輸入してはいけないものリスト
何か輸入したい商品が出てきた場合、まずはこのような資料で確認して輸入できるかどうかを判断してください。
それでもわからない場合は、その商品を管轄する所管官庁やJETROに確認をとりましょう。
「輸入するときの相談」の冒頭でも記述しましたが、返品は非常に困難なうえに最悪の場合、輸入の許可が下りず「廃棄」されてしまうこともあります。
輸入ビジネスの成功には「法令遵守」は欠かせない要素です。
自分だけの判断で輸入に踏み切らないで細心の注意を払い取り組んでいきましょう。
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