Amazonで中国輸入の商品は数多く販売されています。
それと同時に、日本の各メーカーが中国で生産した商品も多数存在しています。
また、中国はコピー品大国でもあるため、日本のメーカーの商品であっても簡単に作ってしまいます。
これがスーパーブランドであれば、買う側もコピー品と見抜きやすいのですが、誰にでも判別できるものではない場合、極端に安く販売されていたとしてもそれに疑問を感じる人も少なくなってしまいます。
また、もともとの商品の認知度が低いと事件やニュースにもなりにくいので、表立って目に触れることはありません。
今回は、偽造品によるいわゆる「相乗り出品」について、どう対処したらいいか考えたいと思います。
目次
Toggle「本物が偽造品に負けた」ニュース
こういった今の状況について、先日このようなニュースがありました。
要約すると、「日本のパルスオキシメーターのメーカーがAmazonで販売しているページで中国の業者に相乗りされたうえに、粗悪品を販売されてしまい大損害を被った。そのため、Amazonに対して偽造品を放置したとして損害賠償を請求した」というものです。
ちなみにパルスオキシメーターとは、指に挟むだけで手軽に血中酸素飽和度が測定できる機械で、コロナ禍で有名になった商品です。
この商品が正規品の10分の1の値段で相乗り販売されたということで、これはたまったものではありませんね。
レビューが相当に荒れているようで、購入者からもたくさんのクレームが届いていたようです。
記事を見ると下記のようにあります。
令和2年9月~3年8月は月平均約2,800万円だったが、同9月は約350万円、10月には約60万円にまで落ち込み、3年9月~4年8月の損害額は2社合計で5億5千万円超に達した
引用元:偽造品放置でアマゾン提訴 背景に「相乗り出品」(産経新聞)
とても大きな損害額ですね。
さらに、正規品側がAmazonに対応を求めたところ、正規品の出品が停止(偽造品はそのまま販売)、さらに商品ページごと削除される事態になっています。
今日のタイトル通り「本物が偽造品に負けた」わけです。
詳細は記事を読んでほしいのですが、こういうときに販売者側で何かしらの対処はできないのでしょうか。
中国から商品を輸入している我々にとっても他人事では済まされない、いつかわが身に降りかかるかもしれない問題ですので、ちょっと対処法について考えていきましょう。
※2022年11月17日 CiLEL編集部より
本記事でお伝えする対処法は、Amazonが公表している内容に沿って、実際にAmazonで販売をおこなっている物販講師が自身の経験をもとに解説したものです。
本記事については「万全の方法とは言えないのでは」という旨のご意見をいただいております。
Amazonのサービスご利用および相乗りへの対処につきましては、それぞれのご判断でお願いいたします。
対処法1:権利侵害を申告する
まず、大前提としてするべきことはまずは相乗りされない商品ページを作って強固な参入障壁をつくることです。
中国にある既製品を販売する(セットを含む)のではなく、自分だけのオリジナル商品を企画・販売するだけで、相乗りをされる確率はかなり下がります。
しかし、作っているのが中国であれば、同じ商品は簡単に製作できてしまいますし、例え違う商品であってもAmazonのシステム上では相乗りが可能です。
これはモラルの問題でもあるのですが、Amazonでの相乗りは「商品の完全一致」が原則です。
ある程度、経験すれば相乗りできないページであることは分かるのですが、悪質な業者はこの原則を無視して相乗り出品をしてきます。
相乗りはシステム上止められない
つまり、Amazonの「相乗り」というシステムは、出品する側が「出します!同じ商品です!」と言ってしまえばそれを止める術がありません。
ですので、最初にすべき対処は「権利侵害の申告」です。
ようは、自社が販売している正規品に何らかの権利(商標・著作権・意匠・特許など)があり、相乗りしている業者に販売許可を出していない、権利の使用を認めていない場合に利用します。
Amazonに自社の権利が侵害されているとして申告するフォームがあります。
Amazonへの申告フォームは2つあって「知的財産権の侵害を申告」と「権利侵害を申告」です。
このフォームの必要事項を記入してAmazonに申告し、その主張が認められれば、該当の商品ページからその出品者が排除されます。
私が持っているのは商標ですが、Amazonに申告することで、何度も相乗り出品者を排除してもらっています。
ですので、商標を持っている場合は、相乗りが出現したら申告フォームを使ってAmazonに申告しましょう。
権利侵害申告の問題点
ただ、この申告方法には問題点が2つあります。
1つ目は、自分で相乗りを発見し申告しなければならないことです。
相乗りに気が付かない、もしくは、相乗り出品者が在庫切れなどでその時だけいないという場合には申告できません。
2つ目は、場合によってはAmazonが申告を認めないこともあり、申告すれば100%確実に排除されるとは決まっていないことです。
対処法2:Amazonブランド登録
Amazonの仕組上、相乗りを止めることができないのは先ほどお伝えしました。
となると、このようなことは今後もなくならないのでしょうか。
答えは「イエス」です。
相乗りができてしまう以上、偽造品に相乗りされるリスクは常にあります。
と言ってしまうと身も蓋もありませんが、ある意味では事実です。
そもそも相乗りをさせないために
ここで「ある意味」といったのは、あることをすればこのリスクを排除できるからです。
既存のAmazonの仕組みである相乗りを止めることはできません。
言い方を変えれば、今回の様な件は「相乗りされるから起きるリスク」とも言えます。
どういうことかというと、このようなリスクを回避するためには、相乗りを排除するよりも「そもそも相乗りをさせない」ようにするほうが確実です。
「さっき相乗りを止めることはできないといったばかりでは?」と思うかもしれませんが、それはあくまで、ただ出品した場合のことです。
Amazonブランド登録のしくみ
また、商標を持っているだけの状態も同様ですが、そこからさらに踏み込んで「Amazonブランド登録」をすることでAmazonに「この企業が扱っている商品が正規品である」と認知してもらうことができます。
つまり、A社が「〇〇」という商標のあるブランド名をAmazonブランド登録をしたとします。
すると、AmazonではA社が「〇〇」のブランドホルダーだと認知します。
そうすると、A社以外の出品者が「〇〇」ブランドに相乗り出品をしようすると、今までのように簡単に出品できなくなります。
出品時に、仕入伝票等のこれから出品しようとしている「〇〇」ブランドが、間違いなく正規品を仕入れたという証拠の提出を求められるからです。
すると、偽造品の業者や似て非なる商品を出品しようとしている業者にこれらはありませんので、出品ができなくなる、という具合です。
対処法3:「Transparency」(トランスペアレンシー)
対処法の3つ目は「Transparency」(トランスペアレンシー)です。
「さっきのAmazonブランド登録でいいんじゃないの?」と思われると思います。
だって相乗り出品できなくなりますからね。
確かにそうなのですが、これにはまだ抜け道や穴があります。
Amazonブランド登録の抜け道
1つは、Amazonブランド登録がされていても、普通に相乗り出品できてしまう場合があるということです。
これは、ブランド登録が不完全なのかAmazonの仕組みの問題なのかはわかりませんが、とにかくブランド登録をしていても出品できるケースがあるということです。
それからもう1つは「間違いなく正規品を仕入れたという証拠」が必要ということです。
先ほどは、これがあるから出品できないと言いましたが、逆にいえば、間違いなく「正規品を仕入れたという証拠」さえあれば出品できるということを意味します。
例えば、販売店を装って卸契約をして書類を入手、Amazonに提出して相乗りできる状態にしてから偽造品を納品するとか、書類そのものを偽造するなどです。
(両方とも完全に犯罪ですが。)
つまりAmazonブランド登録は完ぺきではありません。
ですが、Amazonにはさらに強固に相乗りをブロックする仕組みが存在します。
それが「Transparency」(トランスペアレンシー)です。
これは何なのか?については、以前にコラムにしていますので『【Amazon販売】あなたを次のレベルに押し上げる「Transparency」(トランスペアレンシー)とは?』を参照してください。
「Transparency」(トランスペアレンシー)のしくみ
「Transparency」(トランスペアレンシー)を簡単に言うと、商品の1つひとつに個別のコードを貼り付けて納品することで、そのコードがない商品は偽造品扱いとなる、というサービスです。
この「Transparency」(トランスペアレンシー)を利用しているブランドに出品しようとすると、確認画面が出て進めなくなります。
もし、何らかの方法で納品できたとしても、「Transparency」(トランスペアレンシー)のコードがありませんので、たちまち偽造品として処分されます。
このコードは商品ごとに異なりますので、出品のためだけに1個のコードを手に入れても何の意味もありません。
現在のところ「Transparency」(トランスペアレンシー)が相乗り出品をブロックする最強のサービスと言えそうです。
投稿者プロフィール
- 梅田 潤
- 合同会社梅田事務所代表。1977年生まれ。大阪府出身。副業で中国輸入ビジネスを始め2014年に株式会社オークファンを退社し独立。現在も現役プレーヤーでAmazonの他、国内・海外クラウドファンディングにも取り組みながら、家族との時間を大切にする自分らしく自由な暮らしをしている。最新の著書に『「ゆる副業」のはじめかた 輸入・ネット販売』(翔泳社)
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