起業へのハードルが下がり、関連した各種ITサービスも目覚ましい進化を遂げているなか、起業したい・起業してみたいと思っている方は多いでしょう。
では、肝心の起業する方法ですが、詳しいことはどこまで理解されているでしょう?
今回の記事は、起業の方法から必要な準備、手続き、納税まで詳細に解説していきます。
起業を考えている方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
Toggleそもそも起業とは
起業とは、「自分で事業を起こすこと」が根本的な考え方です。
起業と聞くと、「ベンチャー」という言葉を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれれませんが、「起業」と「ベンチャー」は全く別物と考えた方がいいでしょう。
「ベンチャー」は冒険的・野心的な事業の意味合いがあり、革新的アイデアや技術を武器に新規事業に参入することを意味します。
対して起業は、スタート時点で特別なアイデアを必要としているわけではありません。
起業の本質は、ニーズのあるジャンルに参入した後、未開拓の潜在ニーズを掘り起こすことにあります。
起業に必要な準備
起業を検討するときに、必要な準備を説明します。
どんなビジネスでも、開始してからどこかで軌道修正は発生します。
しかし、入念な事前準備をおこなうことで、後に起こりうる軌道修正を減らすことはできます。
準備段階で成功が大きく左右されるつもりで、しっかり取り組みましょう。
資金計画
考えるべき資金は、初期投資資金と運転資金の2つに大別されます。
初期投資にかかる資金は業種によって異なりますが、おもな費用では以下のものがあります。
・不動産賃貸初期費用
・車両費
・機械購入費
・備品費
・事務機器購入費(パソコンなど)
・ホームページ制作費
この費用に加えて、手続きに要する費用が発生する場合もあります。
初期費用はあらかじめ想定できる費用がほとんどで、突発的に発生する費用はほとんどありません。
この段階で資金計画に狂いが生じないように、しっかり下調べをしてください。
次に、事業開始後の運転資金も考えておきます。
運転資金は継続的に発生する費用が大半ですが、突発的に発生する費用にも対応できるように、余裕を持たせた計画が重要になります。
資金計画と一口に言っても内容は幅広く、事業内容によって全然違ったものになります。
例えば、自宅の1室でピアノ教室を開くなら、生徒を集める広告費くらいで済むでしょう。
しかし、同じピアノ教室でも、どこかにテナントで場所を借りるとなれば、必要な初期投資は一気に跳ね上がります。
資金難は事業存続に直結する重要事項となるので、入念な計画を立てるようにしてください。
ビジネスプラン
何をやるかが決まっていても、具体的なビジネスプランがないと事業は展開されません。
ビジネスプランの内容は資金計画にも直結するので、できる限り詳細なプランを立てることが望ましいでしょう。
下記は、ビジネスプランの簡単な項目と、それぞれ何を記載するかを簡単にまとめたものです。
・ビジネスモデル:法人設立、店舗販売、ネット販売など
・事業内容:ビジネススキームや、事業の展望について
・商品:メインとなる商品や仕入先
・ターゲット:顧客層(年齢、性別など)
・事業規模:事務所、従業員数、商業圏規模やエリアなど
・予想売上:予想顧客数と予想顧客単価で算出
これはあくまでも1例であって、事業内容次第で内容は幅広くあります。
大事なことは、期待値ばかり大きくならないよう、シビアに考えること。
上方修正なら嬉しい誤算で済みますが、大幅な下方修正では継続さえ難しくなります。
「なんとかなるさ」といった捨て身の考え方は禁物です。
起業の方法は3つ
起業方法は大きく分けて「個人でやる」「会社を興す」「フランチャイズに加盟する」の3つになります。
それぞれの特徴やメリットを解説していきます。
個人事業主として起業する
「個人でやる」ことは、個人事業主として起業することです。
個人事業主は、法人を設立しない事業形態で、法人事業主と対になる概念です。
事業主一人のみ、家族のみ、あるいは少数の従業員を抱える事業形態が一般的ですが、大規模経営をすることも可能です。
法人を設立して起業する
法人を設立するとは「会社を興す」と同じ意味になりますが、一般的な株式会社だけを指すものではありません。
法人にも種類があり、そこには株式会社の他に合同会社や企業組合も含まれています。
それらの総称として法人と呼ばれます。
どの組織形態にするかは事業内容次第ですが、法人に共通した特徴は社会的信用度になります。
業界や業態にもよりますが、企業相手に仕事をする場合、取引先を法人に限定している企業もあります。
始める事業内容次第では、最初から法人設立だけに絞る必要も出てくるでしょう。
フランチャイズに加盟する
フランチャイズと聞いて真っ先に思い浮かぶのが、コンビニエンスストアではないでしょうか。
コンビニエンスストアのオーナーは、フランチャイズ運営本部と計画して一国一城の主となります。
確立されたブランディング、成功しやすい事業ノウハウ、自分で開拓する必要のない仕入れルートなど、フランチャイズは起業時のリスクを最大限に軽減できる起業方法といえるでしょう。
しかしその反面、事業方針や労働に関するルールは本部の方針に則って行なうことになります。
自分の思い通りの事業計画でやりたいか、リスクを抑えた方法を取るかが選択の分かれ目になるでしょう。
起業方法別の手続き
ここからは、それぞれの手続きについて説明します。
重要なポイントを押さえた説明になるので、ぜひ参考にしてください。
個人事業主になる手続き
手続き自体は非常に簡単で、税務署に「開業届」を提出すれば手続きは完了です。
手続きには費用も必要ないので、即日開業が可能です。
原則、開業後の一ヶ月以内に開業届を出すように定められていますが、特に罰則はなく、確定申告のときに事業収支報告をまとめて提出すれば開業届提出と同じ扱いになります。
注意点は下記のとおりです。
・開業届を提出しないと、確定申告のときに青色申告が使えない
・開業届の提出のみで登記は行わないため、社会的信用は低い
なお、青色申告については、事業所得と認められるために継続的な記帳が必要になります。
こちらの記事もご覧ください。
『副業収入が300万円以下の場合、確定申告は結局どうなるの?』
法人設立の手続き
法人は、「法律によって人と同じように権利や義務を認められた組織」です。
この定義から推察できますが、個人事業主としての開業とは比べ物にならないほど、法人設立の手続きは煩雑です。
たとえば、税務署への提出書類だけでも「源泉所得税関係の届出書」「消費税関係の届出書」があります。
また、「法人設立届出書」には「定款」の添付も必要ですが、この「定款」の作成が一番困難な作業となるでしょう。
「定款」とは法人組織の規則を記したもので、法律上問題のない規則を作っていく必要があります。
最終的に法務局で登記手続きを済ませるまでには、少なくとも1ヶ月から3ヶ月ほどの期間が必要になってきます。
注意点は、一連の手続きを一人で行なうのは大変困難だということです。
起業支援のサービスや、司法書士・行政書士・税理士といった法律・税務の専門家を活用するようにしましょう。
法人の種別ごとの手続き詳細は、関連記事『起業の種類を徹底解説!一人で始める?仲間と始める?』でご確認ください。
フランチャイズの手続き
フランチャイズで起業する場合は、個人として契約するか、法人として契約するかを選択します。
個人で契約するなら個人事業主の開業届を、法人契約を選択するなら事前に法人設立の手続きをしておきます。
現在、日本には1,000以上のフランチャイズチェーンが展開されており、外食業・小売業・サービス業など業種も多岐に渡ります。
規模も、一人でできるものから、店舗を必要とするものまであり、契約内容も大きく異なります。
ほとんどの場合、説明会や資料を用意しているので、一つの仕事だけでなく比較検討するのがよいでしょう。
起業に必要なお金の知識
起業される方の多くは、「雇われる立場」から「経営者」へ転身することになるでしょう。
今までは、自分が使うお金だけ考えればよかった生活から、事業に必要なお金のことを考える必要が出てきます。
いまのうちに最低限の知識を持っておくようにしましょう。
資金調達
ごく稀に「親から受け継いだ財産を元手に」といった方もいますが、これは例外中の例外です。
通常は【開業資金-自己資金=調達が必要な資金】のように、起業に必要な金額を算出して、それを捻出することになります。
主な調達方法は下記です。
・銀行から融資を受ける
・出資者を募り出資を受ける
・クラウドファンディングで出資を募る
どれかを使って、資金調達することになります。
ここで絶対に忘れてはならないことは、「調達した資金は自由にしていいお金ではない」ことです。
資金調達の際は、必ず事業計画書を作って提示します。
出資する側は、計画内容に納得してお金を出すわけですから、計画書に書かれたこと以外に使うことは許されません。
絶対に、自己判断だけの計画変更はしないようにしてください。
納税
納税は全国民の義務です。
なので、確定申告をする必要があります。
しかし、会社勤めであったなら、源泉徴収が行われるため、ほとんどの方が自分で納税までしたことはないでしょう。
起業する際に、最低限の基礎知識として必要なのは納税する税金の種類です。
【個人事業主】
所得税で納税。
税率は累進課税制度が適用される。
【法人】
法人税で納税。
税率は利益額に関わらず一定。
ただし、たとえ赤字であっても納税する税金がある。
【フランチャイズ】
契約時の個人か法人かによって納税の種類が変わる。
まとめ
どんな仕事で起業するかで、起業方法は変わってきます。
事業内容次第で特徴が違うため、必ずしも会社を興すことがベストとも限りません。
今回の記事では、起業方法と各方法の特徴から注意点までお伝えしました。
起業したい内容や事業が具体的になったら、すでにそれらで起業している人に話を聞いてみたり、自治体が開催している起業支援のセミナーなどに参加するのがおすすめです。
税務については、税務署に聞けば丁寧に教えてくれるでしょう。
これから起業をされる方の参考になれば幸いです。
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