自社で扱う商品が増えてくると、自社倉庫とは別に物流倉庫を利用することがあります。
物流倉庫を利用すれば自社で保管するよりもコストを削減できたり、必要な設備を必要な時だけ使用できたりすることから、実際に利用を検討している企業も多いのではないでしょうか。
とはいえ、具体的にどんな場所なのかイメージしにくいかもしれません。
そこで今回は、物流倉庫の概要や役割について解説。
種類やメリットも紹介するので、ぜひ最後まで読んで自社ビジネスに役立ててみてくださいね。
※この記事の情報は2022年1月時点のものです。
目次
Toggle物流倉庫とは
物流とは、商品の販売・購入に伴う輸送・保管等の過程のことです。
物流の中でも特に輸送・保管の中核として機能する物流倉庫は、EC事業などが大幅に成長した近年、より関心が高まっています。
この章では、そんな物流倉庫について以下の項目をご紹介。
・物流倉庫の概要
・レンタル倉庫との違い
物流そのものについては以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
物流倉庫の概要
物流倉庫とは、物流の過程において主に商品を保管することを目的に利用される施設です。
倉庫には自分の貨物を自分で保管する自家用倉庫と、他人の貨物を別の人が保管する営業倉庫がありますが、物流倉庫では一般的に営業倉庫が用いられます。
営業倉庫は非常に公共性が高いことから、倉庫業法により登録が必要とされています。
また、営業倉庫の中でも建屋タイプのものは普通倉庫と呼ばれますが、他にも生鮮品を保管する冷蔵倉庫や、原木などを水面で保管する水面倉庫などが物流の中核として活躍しています。
かつてはそれぞれの企業が自社倉庫で商品を保管・管理するのが一般的でしたが、倉庫そのものの維持に膨大な手間とコストがかかることから、近年では倉庫業の専門業者に委託するケースが目立つようになりました。
さらに、物流倉庫は保管以外にも、商品の特性に合わせて以下のサービスを展開していることがあります。
・入庫・検品
・ピッキング
・仕分け
・流通加工
・梱包
・出庫
これらの役割については後ほど詳しく解説していきます。
レンタル倉庫との違い
倉庫の一種にレンタル倉庫があります。
貸倉庫とも呼ばれるレンタル倉庫では、営業倉庫とは異なり、倉庫業法による倉庫業の登録を要しないとされています。
つまり一般的な住宅のように不動産の賃貸借契約が用いられるため、防火・防災・防犯などの観点から、営業倉庫ほど厳しい基準を満たしていない可能性があります。
また、流通加工や梱包などの機能面でも営業倉庫と比較して限定的であると言えるでしょう。
物流倉庫の主な役割
物流倉庫には保管の他にも、さまざまな機能があると紹介しました。
そこでこの章では物流倉庫の役割に着目し、以下の7つの機能について解説していきます。
・入庫・検品
・保管
・ピッキング
・仕分け
・流通加工
・梱包
・出庫
それぞれ詳しくみていきましょう。
入庫・検品
商品が物流倉庫に到着して最初におこなうのが入庫・検品です。
入庫とは、商品を倉庫内の指定された場所に入れ、数量などを記録する作業のこと。
一見シンプルなプロセスにも思えますが、実は物流トラブルの中では入庫におけるミスが特に多いとされています。
そのため、在庫管理システム(WMS)や、ロケーション管理などを活用しながら、正確な保管場所・数量を記録しておくことが重要になります。
また、この時おこなわれるのが検品です。
入庫と同時に検品をしておくことは、消費者へ不良品の販売を防ぐだけでなく、汚れや破損があった場合でも物流倉庫に納品される前に起きたこととして、証明にもなります。
保管
物流倉庫の二つ目の機能が保管です。
保管時は正確に商品の場所を把握するために、ロケーション管理と呼ばれる管理方法が用いられます。
ロケーション管理の種類は以下の3つです。
・固定ロケーション
・フリーロケーション
・ダブルトランザクション
固定ロケーションでは、商品一つ一つに倉庫内での住所が割り当てられ、決められた場所に保管していきます。
一方、フリーロケーションでは固定ロケーションと違い、空いている場所に商品を保管します。
ダブルトランザクションとは、固定ロケーションとフリーロケーションを融合させた方法で、倉庫内での作業内容によって両者を使い分けます。
商品の特性や入れ替わりの頻度、倉庫の規模などによって最適な保管方法が異なるため、自社に合った方法を検討しましょう。
ピッキング
ピッキングとは、出荷指示に従って商品を保管場所から出荷場所へと集める作業のこと。
広いスペースに膨大な商品を保管している物流倉庫では、以下の2種類の方法でピッキングをおこないます。
・摘み取り方式
・種まき方式
摘み取り方式とは、発送先ごとに商品をピッキングして出荷する方法で、発送先や商品の種類が多い場合に用いられます。
一方種まき方式とは、複数の発送先の商品をまとめてピッキングし、後で仕分ける方法です。
仕分ける工程が増える分手間もかかりますが、倉庫内での移動時間を短縮できるメリットがあります。
仕分け
ピッキングした商品を発送先ごとに仕分けていきます。
この過程で違う発送先に商品を振り分けてしまうと、大きなトラブルに発展するため、細心の注意が必要になります。
実際に作業をする際はハンディターミナルでバーコードをスキャンし、表示された内容に従って仕分けていく方法が一般的です。
流通加工
流通加工とは、商品の利便性を高め、付加価値を付けるために行われる加工のことです。
一般的な例として、商品の箱詰め・詰め合わせ・値札付け・シール貼り・リボン掛けなどが挙げられます。
また、素材のカッティングやパソコンなどの組み立ても、流通加工として物流倉庫でおこなわれることも。
商品を生産する工場や販売店では、このような細かい作業用の機械やスペースの確保が難しいため、物流の現場において流通加工ができる倉庫は非常に重宝されています。
梱包
仕分けや流通加工などが終わった商品を出荷用に梱包していきます。
一般的に物流倉庫では専用の機材やスペースを備えており、個装・内装・外装のようにさまざまなタイプの梱包に対応しています。
梱包が十分でないと、配送中の振動や衝撃で商品が壊れ、クレームの原因になるリスクも。
トラブルを防ぐためにも、商品ごとに適した梱包材を用いて丁寧に作業していきましょう。
出庫
梱包した商品の内容や個数、納品先に間違いがないか確認し、必要書類を揃えたら発送作業に移ります。
手作業で一つずつトラックに積み込みこともありますが、近年ではコンベヤや無人搬送車を利用する物流倉庫も見られます。
出庫後は荷物のトラッキングナンバーを記録し、差出人と受取人の双方が商品を追跡できるようにしておきましょう。
物流倉庫の種類
物流倉庫は、その機能によって以下の4つに分類されます。
・DC(ディストリビューションセンター)
・TC(トランスファーセンター)
・PDC(プロセスディストリビューションセンター)
・FC(フルフィルメントセンター)
この章ではこれら4つの物流倉庫について解説していきます。
DC(ディストリビューションセンター)
DC(ディストリビューションセンター)は日本語で「在庫型物流センター」とも呼ばれ、商品の保管に特化した物流倉庫のこと。
次に紹介するTCなどと比べ、流通加工や梱包など多くの機能を備えており、幅広いニーズに対応しています。
TC(トランスファーセンター)
TC(トランスファーセンター)は日本語で「通過型物流センター」とも呼ばれ、荷物の積み替えや配送に特化した物流倉庫のこと。
DCとは反対に、原則として保管の機能を持たないため、TCに到着した商品はすぐに別の場所へと運ばれていきます。
発送先の店舗周辺に配置されることが多く、小ロットかつ高頻度で商品を発送できるのがメリットです。
PDC(プロセスディストリビューションセンター)
PDC(プロセスディストリビューションセンター)は日本語で「流通加工・在庫型センター」とも呼ばれ、高度な流通加工ができる設備を備えた物流倉庫を指します。
生鮮食品の加工や電子部品の組み立てなど、DCよりもさらに専門的な作業ができるのがポイントです。
中には工場さながらの生産ラインや、温度管理設備などを備えていることもあります。
FC(フルフィルメントセンター)
EC業界でよく見られるのが、FC(フルフィルメントセンター)と呼ばれる物流倉庫です。
商品の仕入れから保管・管理・発送・決済・顧客管理・返品・クレーム対応など、EC事業で必要な一連のプロセスをワンストップで完結できるメリットがあります。
商品や業界によってさまざまなFCが利用されていますが、特に有名なのがAmazonのFCです。
最先端のシステム「Amazon Robotics」を導入し、自動ライン化された物流倉庫を展開しています。
物流倉庫のメリット・デメリット
物流倉庫の機能や種類を確認したところで、この章ではメリット・デメリットを紹介しましょう。
物流倉庫には以下の特徴があります。
・コストを減らせる
・商品数の増加にも対応しやすい
・物流に関するノウハウを蓄積できない
・顧客対応に時間がかかることがある
それぞれ詳しくみていきましょう。
メリット1 コストを減らせる
物流倉庫に商品の保管を委託することで、物流コストを減らせるメリットがあります。
かつては自社倉庫で商品を保管する企業が多く見られましたが、土地代や機械のメンテナンス費など、倉庫そのもののランニングコストが非常に高いことが難点とされていました。
さらに倉庫で働くスタッフの人件費やシステムの導入費用などで固定費がかさみ、商品の流通量が少ない閑散期には赤字のリスクも。
一方物流倉庫であれば、予算に応じて商品ごとに必要な分だけのサービスを受けられることから、低コスト・低リスクで運用したい企業におすすめです。
メリット2 商品数の増加にも対応しやすい
自社倉庫であれば、商品数が増えると土地を買い足して拡張工事をしないといけないことも。
反対に商品数が少ない時期は、スペースが余って余計なランニングコストばかりかかる可能性もあります。
一方、物流倉庫であれば、一年を通した商品数の変動にも柔軟に対応可能です。
特に季節ものや多品目の商品を扱う企業にとっては、ありがたい存在と言えるでしょう。
デメリット1 物流に関するノウハウを蓄積できない
物流倉庫にはメリットが多い一方、デメリットもあります。
その一つが、物流に関するノウハウを蓄積できないという点です。
自社倉庫を活用する場合は、商品の最適な保管方法や他施設との効率的な連携など、物流に関するさまざまな知識を得られますが、委託するとそれが難しくなってしまいます。
将来的にも委託を継続する予定であればそれほど問題はありませんが、これから自社倉庫を開設する予定がある場合は慎重な判断が必要です。
デメリット2 顧客対応に時間がかかることがある
物流倉庫を利用する場合、顧客対応に時間がかかるリスクも。
自社倉庫であればトラブルがあった際もすぐに商品の所在や状態を確認できますが、物流倉庫であればまず管理会社に連絡する必要があります。
もしもの時に迅速な対応ができるよう、物流倉庫を選ぶ際は連携がきちんととれるかどうか、信頼できる会社かどうかを確認しておきましょう。
まとめ:物流倉庫の特徴を掴もう
物流倉庫とは、物流の過程において主に商品を保管することを目的に利用される施設です。
商品の保管をはじめとし、以下の役割を担っています。
・入庫・検品
・保管
・ピッキング
・仕分け
・流通加工
・梱包
・出庫
また物流倉庫は、その機能によって以下の4つに分類されます。
・DC(ディストリビューションセンター)
・TC(トランスファーセンター)
・PDC(プロセスディストリビューションセンター)
・FC(フルフィルメントセンター)
今回紹介した内容を参考に、自社ビジネスの形態や商品の特性に合わせた物流倉庫を選んでみましょう。
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