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物流の機能とは?目的と5つの領域も解説

市場の国際化やEC事業の拡大を受け、近年ますます物流に関する需要が高まっています。
とはいえ、ひとことに物流と言ってもその機能はさまざま。

普段の生活を送るなかでは接点のない領域も多く、なかなか全体像がイメージしにくいのではないでしょうか。

そこで今回は、物流の6つの機能を詳しく解説。

目的や5つの領域も紹介するので、ぜひ最後まで読んでくださいね。

物流とは

疑問をいだく女性
まずは物流の基本についておさらいしていきましょう。

この章では、物流の定義と目的を解説します。

 

物流の定義

物流とは、商品の販売・購入にともなう輸送・保管等の過程を指します。

たとえば身近な例では、消費者がネットショップで購入した商品が出荷され、消費者のもとに届けられるまでが当てはまります。

またこれ以外にも、原料を生産地から加工場まで運んだり、問屋から購入した商品を販売店舗が仕入れたりするまでの過程も物流と呼ばれます。

物流というと「トラックや飛行機などで輸送すること」と思われることも多いですが、実はそうではありません。

物流には、荷物の保管、梱包・包装、加工などあらゆるプロセスが含まれています。

 

物流の目的

物流の目的は、商品を生産してから消費者に届けるまでの時間的・空間的な隔たりを最小限にすることです。

以前までは、遠くにあるモノをいかに早く消費者のもとに届けるかが重要視されていました。

しかし近年では、ネットショップを活用したEC事業の拡大や、物流業界での労働力の不足を受け、以前にも増してより効率的かつ戦略的な物流へのニーズが高まりつつあります。

2021年に国土交通省によって発表された「総合物流施策大綱」では、これらの課題に応えるため、ICTを活用した物流のデジタル化や、労働環境の整備などが定められています。

今後、労働人口の大幅な減少や国際的な環境問題に伴い、より市場のニーズに合わせた物流システム全体の変化が求められることでしょう。

参照:国土交通省 総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)

物流とロジスティクス・商流・流通の違い

物流センター
物流の基本をおさらいしたところで、この章では物流とロジスティクス・商流・流通の違いについて解説していきましょう。

一見どれも似たような言葉ですが、それぞれ少しずつ意味が異なります。

 

物流とロジスティクスの違い

まずは物流とロジスティクスの違いについて解説していきます。

ロジスティクスとは、物流において生産地から消費者のもとに届けられるまでの一連の過程を管理することを指します。

物流が過程そのものを指す一方、ロジスティクスはその物流を管理し、最適化するという点で異なります。

ロジスティクスでは、サプライヤー・仕入れ業者・顧客などとの関係を視野に入れながら商品の生産から輸送までを計画し、環境保全や安全対策などをおこなう必要があります。

 

物流と商流の違い

商流とは商的流通・取引流通とも呼ばれ、商品の生産から消費の過程において所有権が移転していく流れを指します。

また、所有権の移転に際して発生する金銭や情報の移動も、同様に商流と呼ばれます。

物流が実際のモノの流れを指す一方で、商流では契約や決済など、紙面上やデータ上での流れも含まれるという点で異なります。

たとえばネットショップで消費者が商品を購入した場合、物流の観点からいうと決済された時点では商品そのものはまだ販売会社の倉庫にありますが、商流の観点からいえば所有権は消費者に移行しています。

物流と商流は密接に関わっているため混同されやすいですが、ビジネス形態によっては細かい差が出てくるため注意が必要です。

 

物流と流通の違い

流通とは物流と商流をまとめた呼び方です。

物流とは、生産から消費までの一連の流れにおいて、商品の販売・購入にともなう輸送・保管等の過程であると解説しました。

また商流とは、商品の生産から消費の過程において所有権が移転していく流れであると解説しました。

ではその両者をまとめた流通とはどんなものなのでしょうか。

流通とは、商品が生産者から消費者のもとへ届くまでの一連の流れを指します。

つまり、商品と所有権が両方とも移動して初めて流通したと言えるのです。

ビジネスの現場では、決済のタイミングと商品の受け取りのタイミングが異なる場合が多く見られます。

これらのギャップを理解するうえでも、流通・物流・商流の違いはしっかりと抑えておきましょう。

物流の6つの機能

メガネをかけたスーツ姿の女性
物流に関連する言葉の意味を解説したところで、この章では物流の機能について解説していきましょう。

物流には輸送のイメージが強いですが、実際には以下の6つの機能があります。

・配送・輸送
・保管
・荷役
・梱包・包装
・流通加工
・情報システム

それぞれ詳しくみていきましょう。

 

機能1 配送・輸送

まずは一つ目の機能である配送・輸送から解説していきましょう。

配送・輸送には、物流における空間的な隔たりを埋める役割があります。

販売者から購入者までの移動だけでなく、生産地から加工場まで、加工場から販売者までなど、さまざまなタイミングで必要とされています。

物流で使われる配送・輸送の手段には主に以下が挙げられます。

・トラック
・鉄道
・航空機
・船舶

運ぶ商品や予算によって最適な輸送手段が異なるため、自社のビジネス形態に合うものを活用しましょう。

また、近年ではニーズの多様化に伴い、路線バスやドローンなどを活用したさまざまな輸送の試みもされています。

 

機能2 保管

二つ目の機能は保管です。

保管は、物流の目的の一つである時間的な隔たりを最小限にするためにおこなわれます。

保管には主に倉庫や物流センターなどが利用され、場合によっては管理を他社に委託することも。

販売会社の手元に商品を置いておくよりも、倉庫や物流センターを活用する方が、より早く効率的に消費者のもとへ届けられるメリットがあります。

保管時にはより作業効率を上げるために、商品や保管場所に番号を割り当てて両者を結びつける「ロケーション管理」などの手法をとるのが一般的です。

デリケートな商品であれば部屋内の温度や湿度を一定に保つなどし、品質維持に努めましょう。

 

機能3 荷役

荷役とは、倉庫や物流センター内での作業全般を指します。

具体的には、荷物の積卸し・入出庫・積付け・運搬・ピッキング・仕分けなど。

海外からの輸入品の場合、通関手続きなどの業務が関わることもあります。

膨大な量の商品を取り扱う荷役では、ピッキングシステムやバーコード、RFIDなどさまざまなツールが必要です。

荷役は、輸送方法や商品によって非常に多くのプロセスが含まれるため、物流のなかでも特に中核を担う機能と言えるでしょう。

 

機能4 梱包・包装

流通には商品の梱包・包装の機能もあります。

梱包・包装には以下の目的があります。

・振動や落下による破損を防ぐ
・温度や湿度の変化による品質の低下を防ぐ
・流通時の作業効率を上げる
・内容物に関する表示や説明をする

またJIS(日本産業規格)では包装を役割ごとに「個装」「内装」「外装」の3つに分類して提議しています。

「個装」とは、キャンディーの包み紙のように個々の商品に施す包装で、商品価値を高めたり保護したりするためにおこなわれます。

「内装」とはお菓子のパッケージなどのように個装のさらに外側になされる包装で、水・湿気・光・熱・衝撃などから商品を守る役割があります。

「外装」とは、箱・袋・樽・缶などのように、内装よりもさらに外側に施される包装で、輸送時の商品の破損や汚れなどを防ぐ効果があります。

参照:経済産業省 容器包装の機能と役割

参照:日本規格協会グループ(JSA GROUP)

 

機能5 流通加工

流通加工とは、流通の過程で商品に付加価値を付けるためにおこなわれる加工を指します。

一般的な例として、商品の箱詰め・値札やタグ付け・リボン掛け・ラベル貼りなどが挙げられます。

アパレル製品であれば検針やプレス加工、パソコンなどの電化製品であれば組み立ても流通加工に該当するでしょう。

細かい作業が必要な流通加工は物流センターでおこなわれることが多く、発送までのリードタイムの短縮やコスト削減などのメリットがあります。

またこの他にも物流センター内で流通加工する場合、以下のようなメリットがあります。

・商品の質を高められる
・消費者の満足度を高められる
・工場や店舗が製造や販売に専念できる

 

機能6 情報システム

情報システムとは、物流の過程において必要とされるさまざまな情報を管理する仕組みであり、作業を効率化する目的があります。

物流で活用される情報システムの代表例として、WMS(倉庫管理システム)が挙げられます。

WMSは入荷管理・在庫管理・出荷管理・帳票の発行・棚卸管理・返品管理などに活用され、ハンディターミナルやバーコードなどと併用されます。

情報システムがなければ商品の管理に膨大な時間と手間がかかるため、物流においてなくてはならない重要な機能と言えるでしょう。

物流の5つの領域とは

世界をまたぐ物流
ひとことに物流と言っても、領域によってその実態はさまざまです。

そこでこの章では、物流の5つの領域を紹介していきます。

・調達物流
・生産物流
・販売物流
・回収物流
・消費者物流

それぞれ詳しくみていきましょう。

 

領域1 調達物流

一つ目の領域は、調達物流です。

調達物流とは、原料や部品の調達における商品の流れを指します。

商品によっては輸配送網が海外にまで広がることも珍しくないため、輸出入業務が加わるケースも多く見られます。

近年では、より多種類の商品を少量ずつ生産する企業が増えており、必要なものを・必要なときに・必要なだけ調達できる体制が求められつつあります。

 

領域2 生産物流

生産物流とは、資材の在庫管理から加工・包装・発送まで商品の生産工程における物流を指します。

小規模な生産体制であれば、工場から倉庫や本社まで全て国内で完結することもありますが、複数の海外工場を経由する場合は、海上輸送や空中輸送などが用いられることも。

生産物流は、調達物流と販売物流の中間に位置するため、両者との円滑な連携が求められます。

 

領域3 販売物流

販売物流とは、完成した商品を倉庫や配送センターから消費者のもとへ配送する際のモノの流れを意味します。

物流の5つの領域のなかでも消費者にとって特に馴染みがあるため、「物流」という言葉そのものが販売物流を指すことも。

以前までは店舗や倉庫を経由した販売物流が一般的でしたが、オンラインショップが普及した近年では、生産拠点から直接消費者のもとへ商品を配送するケースが目立ちます。

 

領域4 回収物流

回収物流は不良品や廃棄物などを回収する際に用いられ、「静脈物流」とも呼ばれます。

代表的な例としては不具合によるリコールが挙げられ、販売物流とは逆に消費者から企業へとモノを運びます。

またこの他にも、不要になったオフィス機器や壊れた家電など、リサイクルを目的としたリサイクル回収もあります。

資源の再利用、再資源化へのニーズが高まるなか、循環型社会を形成する上で回収物流は今後ますます注目されていくでしょう。

 

領域5 消費者物流

消費者物流とは、消費者を対象とした個人向けの物流を指します。

主な例に宅配便・引越サービス・トランクルームなどが挙げられます。

他の領域とは異なり荷主が消費者になるケースも多いため、より分かりやすく消費者の立場を保護するような料金体制やシステムが求められます。

まとめ:物流を理解して自社サービスに活かそう

パソコンと段ボール
物流とは、商品の販売・購入に伴う輸送・保管等の過程を指します。

よく似た言葉に、ロジスティクス・商流・流通などがありますが、これらは少しずつ定義が異なるため注意が必要です。

物流は一般的に輸送のイメージを強く持たれる傾向がありますが、実際には以下の6つの機能があります。

・配送・輸送
・保管
・荷役
・梱包・包装
・流通加工
・情報システム

また物流はその内容によって、以下の5つの領域に分類されます。

・調達物流
・生産物流
・販売物流
・回収物流
・消費者物流

それぞれに関連する企業や業務が異なるため、実際に物流を活用する際は、自社サービスに合うものを選ぶ必要があります。

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