CiLEL

補助金・助成金についてその3

「補助金・助成金申請の注意点 その2」

皆様いつも大変お世話になっております。
CiLEL 勉強会講師 辻知岳でございます。

毎月第2・第4水曜日に経営、経理、資金繰り、資金調達、補助金などについての記事を書かせていただいております。

さて、前々回からIT補助金をはじめとする補助金・助成金について書かせていただきます。
これまで、そもそも補助金と助成金って活用できるの?売上いくらぐらいから申請すればいいの?

「補助金って月商いくらくらいから申請できる?」
「補助金・助成金申請の注意点 その1」
についてご案内差し上げてまいりました。

3回目は、補助金・助成金を受給する大前提、これに気を付けないとせっかくの補助金申請が元の木阿弥に・・・というポイントをご案内致します。
それは、「補助金は事前申請制、既に実施済みのビジネスは対象外」であるということ大事なところなので実際にありがちな例でご紹介しましょう!

◆補助金申請でありがちなケース

Amazon販売を行うAさん、Amazonでの販売力を活かし、地元の伝統工芸品を絡めたオリジナル商品開発を行っており、実際にサンプル作成段階まで進んでいました。
そんな中、地域の名産・技術を活用した新商品開発をサポートする補助金(類似のものが実際にあります)の存在を知り、これはちょうどいいタイミングだと申請、見事申請が採択されました。
これはいける!と自信を深めたAさん、サンプル生産に続いて→PP(初期量産)サンプル→本量産サンプルと順調にビジネスを進め、実際にAmazonで販売を開始しました。

さて、実際に補助金の報告期限になったため、事業の完了報告書や経費支払いの領収書をそろえて提出したところ、「サンプル生産の費用については補助金対象になりません」との回答が返ってきてしまいました!

サンプル作成に最も経費がかかっているので、これが対象外ではせっかく補助金を通した意味がありません。Aさんは途方に暮れてしまいました・・・

◆どうしてAさんは補助金を受給できなかったのか?

どうしてAさんはサンプル経費を補助金として受け取れなかったのでしょうか?
それは、「補助金の申請前にサンプル作成経費を支払ってしまったから」もっと具体的に言えば「サンプル作成経費の領収書の日付が補助金採択の日付以前だったから」です。

あくまでも補助金・助成金は「事前申請制」ですので、ほぼすべての補助金・助成金は「採択日以前に支出した経費は補助対象になりません」と明記してあります。
Aさんはこの記述を見落としていたんですね(実際は採択者向け説明会で口を酸っぱくして説明されます)。

◆「補助金を貰わない」というのも選択肢の一つに

逆に言えば、「新しいビジネスで補助金・助成金を貰おうと思った場合、採択されるまでそのビジネス(の支払いを伴う作業)を進めることができない」ということです。
特に助成金が顕著で、「人を雇用して助成金を貰いたい場合、助成金手続きが完了するまで人を雇用できない」となります。

スピードが命で1日も早く進めたいビジネス・課題がある場合は「補助金・助成金を貰わない」というの選択肢もありですね。

次回は「副業、創業1年目でも補助金・助成金はもらえるか?」についてお話いたします。
今回も最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。

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