インターネットの発展により、世界的に越境ECを利用する企業が増加傾向にあります。
皆さんの中にも、実際に越境EC事業への参入を検討している人もいるのではないでしょうか。
とはいえ、具体的にどんなビジネスで、どのように出店したらいいのかなど、気になることも多いはず。
そこで今回は、越境ECの概要と4つの出店方法を解説します。
成功のコツもご紹介しますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。
目次
Toggle越境ECとは
近年、グローバル化やインターネットの発展に伴い、越境ECという言葉をよく耳にするようになりました。
しかし、そもそも越境ECとは何を意味するのでしょうか。
また、実際にはどれほどの市場規模があるのでしょうか。
この章では、越境ECに関するこれらの基本情報についておさらいしていきましょう。
越境ECとは
越境ECとは、ECサイトを通じて行われる国境を超えた取引を指します。
日本国内から海外の通販サイトで購入して商品を輸入するケースも越境ECと呼ばれますが、ビジネスの場では、海外に向けて日本の商品を販売するという意味でよく使われます。
グローバル化やインターネットの発展によって、外国との取引がより活発になっている現代において、無くてはならない重要なビジネス形態として知られています。
越境ECの市場規模
国境を越えて取引を行う越境EC。
世界的にインターネット環境が整ったことによって、年々その市場規模は増加傾向にあります。
2021年に経済産業省が発表した調査結果でも、2020年の日本・米国・中国の3か国間における越境ECの市場規模は、いずれも前年より拡大していることが判明しました。
特に中国の消費者による日本事業者からの越境EC購入額は1兆9,499億円と、前年比17.8%増を記録。
スマホやタブレットなどの普及により、今後も世界の経済を支える重要な産業として注目が予想されます。
越境ECのメリット・デメリット
年々めざましい成長を見せる越境ECに、魅力を感じている人も多いのではないでしょうか。
しかし越境ECには、海外でビジネスチャンスを獲得できる一方で、国をまたぐことで発生するリスクなどもあります。
そこでこの章では、越境ECのメリット・デメリットを紹介していきます。
越境ECのメリット
まずは越境ECのメリットから見ていきましょう。
一般的には以下の3つの利点があります。
・海外でビジネスチャンスを獲得できる
・実店舗で販売するより出店が簡単
・「日本ブランド」を活かせる。
少子高齢化が進み、将来的に多くの業界で市場が縮小すると言われている日本。
しかし越境ECを活用すれば、よりポテンシャルのある国に商圏を拡大できるメリットがあります。
さらに越境ECなら実店舗を現地でオープンするより手間がかからず、海外で人気の「日本ブランド」を活かした戦略も立てられます。
越境ECのデメリット
メリットの多い越境ECですが、国境を超えることによる特有のデメリットもあります。
・言語の壁がある
・商習慣の違いがある
・規制・法律の違いがある
・輸送コストが高くなる
外国で商売をする以上、少なくとも英語か現地の言語に対応できる必要があります。
また商習慣や、規制・法律の違いはビジネスの根本にかかわる大きな課題。
たとえ販路を整えられたとしても、日本から海外に商品を輸送するコストが高くなる為、顧客にとって購入のハードルが高くなるリスクがあります。
越境ECで成功するためのポイント
ここまでは、越境ECの概要をお伝えしてきました。
この章では、実際に越境ECをやってみたいと思う人のために、越境ECで成功するための3つのポイントを紹介します。
・ターゲットの特徴とニーズを把握する
・複数の言語で越境ECサイトを運営する
・配送に必要な費用や日数を調べておく
どれも外国に向けてEC事業をする上でとても重要なので、ぜひ参考にしてみてください。
ターゲットの特徴とニーズを把握する
例えば、同じ化粧品を売ろうと思っても、国や地域によってトレンドや好みは様々です。
日本では夏に日焼け止めクリームが売れ筋でも、海外では季節が真逆の地域や、そもそも日焼け止めクリームを塗る習慣があまりないこともあります。
現地のターゲットにはどんな特徴があり、どんなニーズを抱えているのか、事前に入念に調査しておきましょう。
複数の言語で越境ECサイトを運営する
海外の顧客をターゲットとするのであれば、少なくとも英語か現地の言葉で対応できるようにしておきたいところ。
国によっては複数の言語を公用語とする場合もあるので、事前に現地の通販サイトを見ながら、どの言語を組み込むべきか考えておきましょう。
また、サイトを多言語で表示するだけでなく、実際に運用した場合のお問い合わせの対応方法も検討する必要があります。
配送に必要な費用や日数を調べておく
日本であれば、注文があった当日に発送し、翌日には注文者の元に配達されることも珍しくないですよね。
しかし海外へ発送する越境ECでは、国や配送方法によって驚くほど配達に時間がかかることも。
さらに、運送中の予想外のトラブルや通関検査により、予定していた到着日時よりも大幅に遅れたり、追加の料金が発生する可能性もあります。
商品の種類や配達先の国によって事情が異なるため、事前に配送に必要な費用や日数を調べておきましょう。
越境ECを始めるまでの流れ
越境ECの概要やメリット・デメリットを確認したところで、この章では越境ECを始めるまでの流れを解説していきます。
越境ECでは、一般的に出店まで以下の5つのステップがあります。
・商品を仕入れる
・法律や規制を調べる
・人員を確保する
・出店方法を決める
・資金を集める
それぞれ詳しくみていきましょう。
商品を仕入れる
越境ECを始めるにあたって、まず必要となるのが商品の準備です。
ターゲットとなる地域の需要を調べ、仕入れや販売がしやすい商品を選びましょう。
日本では人気がある商品でも、海外では馴染みが無かったり、現地への安定した供給が難しいことも。
また、日持ちしないものや、壊れやすいものも注意が必要です。
仕入れから販売までのシミュレーションをしながら、その商品で利益を確保できるかどうかも検討しておきましょう。
法律や規制を調べる
取り扱う商品に目星を付けたら、輸出入に関わる法律や規制なども調べておきましょう。
特に食品、アルコール類、医薬品、植物、動物に関する物などは、輸出入自体を禁止していたり、事前の申請を要する場合があります。
また、現地の法律上では販売が可能でも、国際郵便として配送ができないケースもあります。
輸出入に関する法律や規制は常に変動するため、JETROや日本郵便などのサイトで最新の情報を確認しておきましょう。
人員を確保する
商品を用意し、法律や制度を確認したら、出店に必要な人員を確保しましょう。
特に越境ECでは、仕入先や販売先との連携や、現地での調査を要することもしばしば。
またECサイトで複数の言語を使用するにあたり、翻訳や通訳が必要になる場合もあります。
どの業務にどんな知識を要する人が必要か、事前に検討し求人を出しましょう。
出店方法を決める
商品を決め、人員を確保したら出店方法を決めましょう。
越境ECでは、主に以下の4つの方法があります。
・自社で越境ECサイトを運営
・海外のECモールに出店
・保税区を利用
・越境ECの代行会社を利用
それぞれの詳しい特徴については次の章で解説するので、参考にしてみてくださいね。
資金を集める
事業の全体像が見えてきたら、出店に必要な資金を集めましょう。
一言に越境ECと言っても、販売する国や取り扱う商品、さらに出店方法によって費用が大きく異なります。
初期費用だけでなく、毎月のランニングコストも考慮して、余裕を持った資金を用意しましょう。
越境ECの出店方法4つ
越境ECの開業までのステップを解説したところで、この章では具体的な出店方法を紹介します。
越境ECでは一般的に、以下の4つの方法がとられます。
・自社で越境ECサイトを運営
・海外のECモールに出店
・保税区を利用
・越境ECの代行会社を利用
それぞれ詳しくみていきましょう。
方法①自社で越境ECサイトを運営
自分でドメインを取得し、サイトを構築するタイプの運営方法です。
高度な機能を付ける場合、プログラミングなどの知識や追加の費用が必要なこともありますが、ECモールを使うより毎月の維持費が安くなる傾向があります。
無料のサイト作成サービスなどを活用しながら、越境ECにも対応したサイトを構築しましょう。
方法②海外のECモールに出店
AmazonやeBayなどの海外のECモールを活用する方法です。
日本では楽天市場やAmazonが人気ですが、販売する国によってメジャーなECモールが異なるため、現地のニーズに合ったモールを選ぶようにしましょう。
自社で越境ECサイトを運営するよりも、毎月の維持費や販売手数料が高くなる傾向がありますが、有名なECモールを使えば集客がしやすいメリットがあります。
方法③保税区を利用
主に中国向けの越境ECで見られるのが、保税区を活用した方法。
保税区とは、外国から輸入した貨物を、税関を払わずに一時的に保管できる場所を指します。
追加で保管費用がかかるものの、注文があった際、現地の倉庫から消費者元まで短時間で配送できるメリットがあります。
方法④越境ECの代行会社を利用
サイトの運営、翻訳、配送手続き、現地のニーズの調査など、越境ECのあらゆる業務を他社に代行してもらう方法です。
代行を依頼する分コストがかかりますが、越境ECのノウハウがない人にとっては、安心して事業を始められるメリットがあります。
任せたい内容や国によって様々なサービスがあるため、自分に合った代行会社を選びましょう。
越境ECの注意点
越境ECにはメリットが多く、実際にこれから始めようと思っている人も多いのではないでしょうか。
しかし、他国でビジネスをすることによって、思いがけないトラブルが発生することも。
そこでこの章では、越境ECをする際の以下の3つの注意点を紹介します。
・商品が越境ECに合うか注意
・送料に注意
・為替レートに注意
これから事業を始める人は、ぜひ事前に確認しておきましょう。
商品が越境ECに合うか注意
商品によっては、長時間の配送で質が落ちてしまうことも。
また、日本では問題なく販売できる商品でも、現地の法律や規制の問題で輸出自体が出来ないケースもあります。
そのため、越境ECでは国内のEC事業以上に商品の見極めが重要です。
安定的に供給でき、かつ十分な利益が確保できるような商品を選びましょう。
送料に注意
小さな荷物であっても、遠い国に配送する場合、送料だけで数千円かかる可能性があります。
反対に近い国であっても、大きな荷物は要注意。
安く商品を仕入れることができても、送料を加算すると現地の競合ショップより割高になるリスクがあります。
事前に大まかな送料を算出し、利益が見込めそうか確認しておきましょう。
為替レートに注意
越境ECと国内のECの大きな違いは、仕入れる国と販売する国の通貨が異なることです。
今は利益が出ていても、現地の政治や経済など様々な要素によって、将来的に為替レートが大きく変わる可能性があります。
過去の為替レートの変動を確認し、相場が悪くなった場合の利益率も事前に予測しておくと安心です。
まとめ:事前に準備をしっかりして越境ECを成功させよう
越境ECとは、ECサイトを通じて行われる国境を超えた取引を指します。
世界的にインターネット環境が発達したことによって、年々その市場規模は増加傾向にあります。
越境ECには、以下の4つの出店方法があります。
・自社で越境ECサイトを運営
・海外のECモールに出店
・保税区を利用
・越境ECの代行会社を利用
また、実際に事業を始める際は、以下の3つのポイントを意識しましょう。
・ターゲットの特徴とニーズを把握する
・複数の言語で越境ECサイトを運営する
・配送に必要な費用や日数を調べておく
投稿者プロフィール
- cilel_admin