ここ数年で瞬く間に浸透し取り沙汰されてきたD2Cビジネスについて、大きな成功を収めている事例を紹介していきます。
そもそもD2Cビジネスとは、Direct to Consumerの略で、消費者とダイレクトに繋がることで利益率の向上とデータマーケティングを活用することができるビジネスです。
名だたるナショナルブランドやメーカーを凌駕するほどに成長しているD2Cの成功事例を紹介していきます。
目次
ToggleD2Cビジネスについて
まずはじめに、D2Cビジネスについて改めて説明いたします。
D2Cビジネスは、冒頭でお伝えしたとおり消費者とダイレクトに繋がるビジネスであり、以下のような5つのメリットがあります。
・中間業者を介さないため利益率が高い
・顧客と直接繋がるため商品の意見を直接吸い上げることができる
・自社サイトで販売するため細かいデータを全て蓄積できる
・自社完結のため制約がなく高い自由度を誇る
・スピード感のある中小企業が勝ちやすいビジネスモデル
B2C(BtoC)やB2B(BtoB)が常識と考えられてきた時代から、D2Cと呼ばれる新しいビジネスモデルが確立されてきています。
あまり目にすることはないかもしれませんが、年々その数は増え続けており、毎日何十件という数のビジネスが誕生しているのです。
D2Cビジネスの成功事例6選
この章では、D2Cビジネスで成功している企業ではどういった事業を行っているのかを紹介していきます。
BULK HOMME(バルクオム)
まずD2Cビジネスの成功事例として紹介するのは、BULK HOMME(バルクオム)です。
白と黒を基調としたメンズスキンケアブランドです。
木村拓哉さんを起用し、TVCMなどで大々的に宣伝も行っています。
スキンケア市場のなかでも、男性用スキンケア商品が市場としてまだ小さく育ちきっていない中で、一気に市場拡大とポジション確立の戦略をとってきました。
男性の多くはなんとなく洗顔や化粧水をしているなかで、インフルエンサーやメディアを有効に活用し、潜在顧客から新規顧客への引き上げを重点的に行なってきました。
そしてそこから新規顧客をリピート顧客に繋げ、高い継続率を誇ります。
洗顔の正しい方法や化粧水の付け方など、女性にとっては当たり前のことさえも知らない場合が多い男性に対して、的確にアプローチをとっているので非常に参考になる企業です。
COHINA(コヒナ)
つぎの成功事例としては、COHINA(コヒナ)です。
身長150cm前後の小柄女子のためのファッションブランドです。
ファッションからファッションアイテムまで幅広く展開をしています。
創業者自身の体験をもとに、「おしゃれな服は世の中にたくさんあるけれど、身長的にミスマッチが起きやすいという点」から起業をしています。
実体験からのD2Cブランド創業だけではなく、SNSを最大限活用したLIVE配信を毎日行うことで、顧客を惹きつけ強い依存を生むことに成功しています。
LIVE配信では、実際に商品紹介をするだけではなく、細かい仕様についての質問にリアルタイムで答えていたり、実際に着用した印象についてLIVE視聴者とコミュニケーションを取っています。
商品開発・改良のスピード感が圧倒的に早くなることで、より良い商品を市場にリリースしやすくなっています。
ドモホルンリンクル
だれもが一度は聞いたことがある大手化粧品会社再春館製薬所のドモホルンリンクルです。
D2Cという言葉が巷に出てくる以前から、いわゆるD2Cの形をとっていました。
「初めての人には、お売りできません」という有名なフレーズを聞いたことがあるのではないでしょうか。
2021年3月決算では売上300億円となり、顧客満足の高さからそのリピート率は9割近い数値となっています。
要するに年間270億円ほどを既存顧客が買い続けているということです。
新規顧客の獲得には既存顧客の5倍のコストが掛かるなどと言われますが、この驚異のリピート率によって営業利益は他社の比ではないのかもしれません。
土屋鞄製造所
老舗の皮革製品ブランドの土屋鞄製造所です。
こだわりのランドセルや大人向け鞄など、一つ一つに職人の技巧が散りばめられた素晴らしい商品を販売しています。
BtoC取引からD2Cの移行するにあたり、自社サイトの構築に課題を抱えながらも、PDCAを回しながらリニューアルを繰り返したことで現在ではブランディングに力を注いでいます。
ワンシーズンで使って終わるような商品ではなく、長く寄り添っていける商品づくりに重きをおいているため、利用した方の多くはファンとなり他の商品も買ってしまうようです。
D2Cの事例としても非常に綺麗な形で、商品の質・クオリティを高めることで顧客にファンになってもらい、LTV(顧客生涯価値)を高めることに成功しています。
BOTANIST(ボタニスト)
オーガニックシャンプーで有名なBOTANISTです。
現在では、ドラッグストアなどにも陳列されていますが、D2Cブランドとしてスタートしています。
BOTANISTはデータマーケティングを活用しマーケットインで生み出された商品です。
当時の市場の状況としては、ドラッグストアには1,000円以下の大手シャンプーが並び、次いでサロン品が2,000円以上で販売されているという状況でした。
そのなかで、中間域の1,500円が空いているために、この価格をベースにして、時代の状況と差別化を組み合わせることで誕生した商品です。
こだわりの商品を作るため、リピート購入意向調査(2022年2月実施)では3万人の回答者のうち90%以上がもう一度使いたいと回答しています。
大手企業がひしめく中でしっかりと売上・利益を伸ばし続け、高い継続率で顧客の獲得をできているので、D2Cビジネスの成功事例としてお手本となる企業です。
FUJIMI(フジミ)
パーソナライズされたスキンケアを提供しているFUJIMIです。
肌診断を活用することで、一人一人にあったサプリをカスタマイズしています。
お肌に関する約20個の質問に答えることで、診断結果から必要とされるサプリを処方しています。
FUJIMIでは全てインハウス(企業内)で行なっているため、LPデザインやマーケティング、SNSの投稿画像など自分たちが伝えたい想いを100%形にできているという強みがあります。
デザインにもこだわりをもっており、海外ではサプリを化粧品のように利用していることから着想を得て、FUJIMIでは化粧品のようなデザインにもこだわっています。
D2Cの成功事例から読み解く3つの特徴
ここまで、D2Cの成功事例について簡潔にお伝えしてきました。
今回挙げたD2Cの事例のほかにも、成功しているD2Cブランドは数多く存在しています。
D2Cビジネスを行なううえで、成功事例となっている企業にはどういった特徴があるのか分析してみます。
ブランド独自の世界観を確立している
D2Cブランドの成功事例として挙げた企業に共通して言えることは、ブランドの世界観が細部に至るまで確立されているということです。
商品そのものはもちろんのこと、商品ページやパッケージ、封入物に至るまで、世界観を崩すことなく細部に至るまでこだわりを貫いている企業が多くあります。
世界観を統一し確立されたブランドにすることで、顧客に対して商品ではなく体験を与えていると表現することもできます。
顧客が求めている体験を提供することができるからこそ継続的な販売につなげることもでき、根強いファンが生まれる理由にもなります。
この「体験を提供する」という表現がもっともふさわしいブランドとして、世界的企業のAppleが挙げられます。
もしあなたがiPhoneユーザーでしたら、以下の仕組みに気付いているでしょうか。
・新品購入後、箱を開ける瞬間にゆっくりとしか開かない。
=新品を手にするドキドキ感をより味わってもらうため7秒掛けて開くように設計されている。
・公式のiPhone画像の時刻は全て9:41になっている
=Appleの公式発表会のときに新製品発表時刻が9:41頃になるため。
・Appleのサポートセンターの電話番号0120-277-535には意図がある
=27753の箇所を電話ダイヤルで押すとA・P・P・L・Eになる。最後の5=JはJapan?
・デフォルトアプリの「ボイスメモ」のアイコンはAppleと発音したときの波長になっている。
・コントロールセンターの懐中電灯は実はON・OFFでスイッチが上下に動いている。
こういった仕組みに気付く人は非常に少ないですが、今回この記事を読んでしまったiPhoneユーザーの方は、より一層iPhoneファンになってしまったかもしれません。
世界観を確立し顧客に体験を提供することで、ブランドとしての地位が一段も二段も上に上がることでしょう。
有効的にSNSを活用している
次にD2Cビジネスの成功事例の特徴として挙げられることが、有効的にSNSを活用しているという点です。
D2Cビジネスでは、Amazonや楽天市場などのようなECモールと違い、自分たち自身で集客をする必要があります。
独自の魅せ方であったり、掲載したいメディアやサイト等、全て自分たち自身で構築していく必要があります。
その中でも、数年おきに新しいものが出てくる流れの早いSNSについては、非常に有効な集客窓口となります。
先述したCOHINAのように毎日LIVE配信をしたり、FUJIMIのようにスピード感とクオリティを備えながら日々投稿をしたりと、どれだけSNSを攻略できるかで売上も大きく変わってきます。
顧客の声を大切にして有効的に反映している
そして最後に、D2Cビジネスの成功事例の特徴として、顧客の声を大切にしているということです。
消費者と直接繋がることができるD2Cビジネスの最大の特徴をしっかりと活かすことができている企業が成功していると言えるでしょう。
自社で製造から販売、サポートまで行っていくなかで、直接顧客の声を聞くことができるので、仕様として分かりにくい点や商品改良の声をすくい上げることができます。
自社完結のビジネスだからこそ中間マージンも発生せず高い利益率を確保しやすいため、生んだ利益をしっかりと商品やサービスに活かすことで、確固たるブランドが作れるのかもしれません。
まとめ
今回の記事ではD2Cビジネスの成功事例とその特徴についてお伝えさせていただきました。
独自の世界観を確立させたD2Cブランドは非常に魅力的で、根強いファンに支えられ、売上・利益ともに好調に業績を伸ばすことができます。
物販系のビジネスをするうえで、ここまで魅力的なビジネスは他にないかもしれませんね。
しかしながら、注意しなくてはいけないこともあります。
ここまでD2Cビジネスの成功事例から良いことばかりをお伝えしてきました。
この成功事例の裏には、成功することができなかった何十倍、何百倍もの数のD2Cブランドが存在します。
物販系ビジネスの中でも、特にD2Cビジネスは先行して出ていくお金が多く、銀行残高が増えるようになるには長い年月がかかってきます。
少ない資金や少ない人員で始めるには、非常に険しい道のりとなりますので注意が必要です。
今回のD2Cビジネスの成功事例の記事を読んで、少しでも参考になれば幸いです。
これからD2Cビジネスをやってみたいという方におすすめなのは、将来的にオリジナル商品の開発をすることを見据えて、物販ビジネスを始めることです。
すでに存在している事例としては、中国仕入れで物販ビジネスをおこない、軌道に乗ったところで中国OEMをおこなうという形があります。
こちらの記事も参考にしてみてください。
『中国輸入で簡易OEM!アパレル商品のタグを付け替えて自社ブランドとして販売』
中国からの輸入ということで、やりやすい商品ジャンル・やりにくい商品ジャンルはありますが、アパレル商品や雑貨商品でD2Cビジネスを展開したい方は、選択肢として持っておいても良いでしょう。
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