ECサイトでは、売り上げを伸ばすために、さまざまな方法で集客をおこないます。
しかし、集客方法も多様化が進み、単に広告を出すだけではなかなか売り上げに繋がらない場合も少なくありません。
思うように売り上げが伸びないときに「ECコンサルがいた方がいいのかな…」と考えることもあるでしょう。
この記事では、ECコンサルについて「ECコンサルは必要なのか?」「おもなコンサル内容は?」という疑問にお答えします。
また、ECコンサルのメリット・デメリットについても詳しく解説していきます。
目次
ToggleECコンサルとは
「ECコンサル」と言うと、「ECコンサルタント」のことを指す場合が多いです。
ECコンサルタントは、ECサイトの運営・売り上げ・集客について、専門的な知識と経験をもとにアドバイスを行います。
ECサイトの運営には、実店舗とは違ったノウハウが必要とされるため、専門の外部コンサルタントにアドバイスを求める機会も多くなるでしょう。
ECコンサルは、サイト運営者が思いつかないような解決策を持っていますので、そのECサイトに応じた売り上げ向上のアドバイスを行ってくれます。
ECコンサルが必要とされる理由
近年のEC業界は、個人・法人問わず参入者が増加しています。
EC市場自体も伸び続けていますね。
しかし、経済全体で見ると、EC業界はそれほど普及が進んでいません。
BtoB(企業間取引)は全商取引の約3割、BtoC(企業対個人間取引)に至っては全商取引の1割にも満たないのが現状です。
これは、参入時に確たるノウハウを持った状態で運営を始める人よりも、手探り状態で始める人の方が圧倒的に多い実情を表しています。
見よう見まねでEC事業を始めたものの、集客が上手くいかずに運営が困難になる場合も少なくないため、ECコンサルが必要とされているのです。
ECコンサルのおもな業務内容
ECコンサルは、売り上げ増加につながる集客戦略を立てることが最も重要な業務になります。
ECサイトの運営は、集客戦略が上手くいくかどうかで、売り上げが大きく左右されます。
ECコンサルを必要とするサイトの立て直しポイントが、集客戦略の見直しに集約されていることが多くあります。
ECサイトの課題を見つける
・現状のメイン商品を売り出すためにターゲット層は合っているのか?
・ニーズに合った集客方法を選択できているか?
・サイトデザインは見やすいものになっているのか?
などなど、ECコンサルはあらゆる視点から課題ポイントを洗い出します。
ECサイト運営が停滞するときは、ユーザーの視点を見失っていることが多いです。
ECコンサルは客観的な角度から課題を抽出していきます。
ターゲット設定を見直す
課題の抽出に伴って、ターゲット設定の見直しを行います。
ターゲット設定の方向性は合っていても、絞り込みが出来ていないためにニーズを読み間違えることもあります。
ターゲット設定が曖昧な状態では、正しい集客戦略にたどり着くことが難しいため、精度の高い絞り込みが必要です。
ここに、ECコンサルの豊富な知識が求められます。
マーケット分析
ターゲットの見直しができれば、取り扱う商品市場のマーケット分析に入ります。
EC市場は移り変わりも激しく、流行に大きく左右されるジャンルも少なくありません。
もし、需要が見込めない市場であれば、もう一度ターゲットや商品の見直しも必要になるので、入念な作業が求められる業務です。
データ分析
データ分析によって、既存商品の売り上げ傾向やウィークポイントが浮かび上がったり、補強ポイントが明らかになったりします。
売り上げを予測することも可能になります。
ECコンサルは、データ分析に長けていることが多く、プロの力量が発揮される業務でしょう。
集客戦略を練る
これまでの各業務を経て、最適な集客戦略を立てていきます。
集客方法は、広告運用からコンテンツマーケティングまで多岐に渡りますが、ECサイト運営者は広告運用以外に不慣れなことも多いです。
ECコンサルのノウハウによる多角的な戦略が必要となる場面になります。
ECコンサルに委託するメリット・デメリット
メリット
【時間の節約】
ECコンサルに委託する際に期待するのは、ノウハウの裏付けとなる「経験値」になるでしょう。
知識だけならすぐに身に付きますが、経験値を得るには時間がかかります。
運用ノウハウを持った担当者の育成に費やす時間を節約できると考えれば、ビジネス上のメリットは大きいといえるでしょう。
【コストの削減】
ECコンサルに委託するための費用はかかりますが、最適な集客方法への最短距離と考えれば結果的には大幅な経費削減になる可能性もあります。
特に、集客が上手くいかないときは、売り上げが停滞している理由になかなか到達することができずに、広告費がどんどん膨らんでしまうこともあるでしょう。
必要最小限の費用で最大の成果を目指すコンサルの手法は、トータルで見たときにコスト削減につながる期待が持てます。
デメリット
【コンサル後の運用】
ECコンサルは、ノウハウの提供はしてくれますが、あくまでも外部委託です。
そのため、コンサルの契約期間が終了した後のことを、あらかじめ視野に入れておく必要があるでしょう。
コンサルを受けている間に、どれだけ自己運用できるノウハウの蓄積ができるかが重要になります。
【成果は保証されたものではない】
残念ながら、どれほど経験値のあるECコンサルといえども、100%の成果を望むことはできません。
ECコンサルの実績は、成果によって評価されますが、移り変わりの早いEC業界においては成果保証はできません。
委託する側も、費用対効果の許容範囲をあらかじめ試算するようにしておきましょう。
ECコンサルに委託する前に考えること
ECコンサルに委託する前には、自社の方針を明確にする必要があります。
あくまでも主体となって動くのは運営者であり、コンサルは手助けする立場です。
どこに目標を置いて、どこに向かいたいのか決めるのは、ECサイトの運営者です。
売り上げ目標
まず決めるのは売り上げ目標です。
当初の売り上げ目標から、どのように修正したのか?
そこから目指す売り上げ目標はいくらにしたいのか?
コンサルの基本は軌道修正です。
何もないとこらから何かを生み出すのではありません。
・当初の売り上げ目標は?
・現実の売り上げは?
・目標を達成できなかった原因として考えられるのは?
・新たな売り上げ目標は?
これらが明確でないと、コンサルも何をすればいいか動きようがありません。
解決したい課題
ECサイトの運営が滞っているには必ず原因があるはず。
その原因を解決する方向に導くのがコンサルの仕事ですが、ECサイト運営者が停滞の原因について見当もついていないようでは、コンサルを依頼したところですぐに解決に向かうのは難しいでしょう。
必ずしも原因がわかっている必要はありませんが、自分たちで課題を洗い出す作業は必要です。
コンサルが原因究明を手助けしてくれることもありますが、ここでもコンサルの基本は軌道修正。
任せっきりでは時間が無駄になってしまいます。
自分たちで洗い出した課題を出発点として、プロの目線で解決に導いてもらうスタイルが、ECコンサルを最大限に活かす方法になるでしょう。
月額予算
ECコンサル費用はピンキリです。
受けるコンサルの内容によって、月額費用はさまざまです。
コンサル会社によって費用が変わることはもちろん、ECサイトのジャンルによっても変わってくるため、費用相場は一概にいえません。
ECコンサルを依頼する際は、候補となる複数のコンサル先に、コンサル内容と月額費用の見積もりを出してもらうと良いでしょう。
ECコンサルを選ぶポイント
ECコンサルに委託するのは、売り上げを伸ばすためです。
そのためには自社に合ったコンサルを選ぶ必要があります。
ここでは、何をチェックして何を基準に選べばいいか、ポイントを解説します。
ECコンサルには得意領域がある
ECコンサルは大別して、2種類に分けられます。
ひとつはECモールのコンサルティングを得意とするECコンサルです。
ECモールとは、楽天市場やAmazonなどのECショッピングモールのことで、コンサルのポイントはライバルショップとの差別化になります。
ECモールの場合、一次集客はショッピングモールの知名度でできますが、集まったお客様を自分のサイトに呼び込むための戦略が求められます。
ただし、一言でECモールといっても、楽天市場には楽天市場の、AmazonにはAmazonの、Yahoo!ショッピングにはYahoo!ショッピングの顧客傾向があり、集客戦略は同じではありません。
コンサルを選ぶ際には、自社の出店しているECモールのコンサルでどれだけ実績があるかが、重要なポイントになるでしょう。
もうひとつは自社サイトのコンサルティングを得意とするECコンサルです。
自社サイトは、その名の通り自社で立ち上げた独自サイトを指します。
自社サイトの場合、大手ECモールが得意とする知名度による集客ができないため、一次集客で苦労することが多くあります。
しかし、大手ECモールにあるような規制や規約がないので、集客方法は全くの自由になります。
自社サイトのECコンサルでは、自由に集客できる環境でいかに独自のカラーを打ち出せるかが、力の見せどころになるでしょう。
コンサルを選ぶ際には、自社サイトのコンサル実績がどれだけあるかを、しっかり確認するようにしましょう。
レスポンスのスピードも重要なチェックポイント
問い合わせ時点で、どこまで迅速な対応ができているかは重要なチェックポイントになります。
ECコンサルは、会社の浮沈のカギを握る存在になります。
単なるアドバイザーにとどまらないのです。
・問い合わせや要望に、どれだけ迅速に対応してくれるのか?
・一つの質問にいくつの提案や回答を示してくれるのか?
・どれだけ前向きな姿勢を見せてくれるのか?
・いかにわかりやすく答えてくれるのか?
短くない期間、ビジネスを共にするパートナーとなるのがECコンサルですから、一緒に頑張れそうなコンサルであると感じるかどうかも、とても大切なチェックポイントになります。
ECコンサルを委託するうえでの注意点
「ECコンサルに頼めば安心」ということはありません。
ECサイトの運営主体は運営者自身であり、運営方針を決めるのも、もちろんECサイト運営者です。
課題解決をコンサルに丸投げすることは、運営を他人にまかせてしまうようなもの。
運営者とコンサルがタッグを組んで、初めてサイト運営の軌道修正ができます。
コンサルは進む道を示してくれますが、そこを先陣切って進んでいくのはサイト運営者であると理解した上で、ECコンサルを委託しましょう。
ECコンサルとECサイト運営代行は違う
ECコンサルのなかには、サイト運営そのものを代行してくれる会社もあります。
事業本体とEC事業は別物と割り切っているなら問題ないかもしれませんが、人手不足などの一時的な理由でサイトの運営まで任せてしまうのは考えものです。
コンサルだけなら、後々のためにノウハウを蓄積していくことも可能ですが、運営まで任せてしまっては肝心のサイト運営ノウハウが残りません。
もしECサイトの運営まで任せるなら、サイト運営ノウハウも一緒に吸収できるような仕組みにしておきましょう。
まとめ
ECコンサルの内容や必要性、メリットやデメリットについて解説してきました。
ECコンサルの費用は、決して安いものではありませんが、売り上げが低迷したときの打開策として非常に有効な手段です。
日本のEC業界は、まだまだ未開拓な部分が多いだけに、いかに上手くプロの意見を活用できるかが重要になってくるでしょう。
ECコンサルは、サイト運営に必須ではありません。
必要性を感じたときに、必要なところに手を貸してくれるECコンサルにお願いするのが、費用対効果を高くするコツになると思います。
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