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ECサイトをメディア化するメリットとは

近年、ECサイトをメディア化して顧客獲得を目指す手法が注目されています。

ECサイトのメディア化は、今後の主流となるだろうという見方もあります。

しかし、ECサイトのメディア化とは、一体どんな方法なのでしょうか?

この記事では、ECサイトをメディア化する目的から、構築する流れ、注意点まで詳しく解説していきます。

メディア化が進むECサイト

パソコンでネットビジネス

メディアとは情報を伝達する手段の総称として用いられ、身近な例でいえば、テレビなどがそれに当てはまります。

メディアの伝達手法にはいくつもの種類があり、テレビや投稿動画のような「見る、聞く」に訴えかけるもの、ラジオや音楽のように「聴く」に訴えかけるもの、新聞や雑誌のように「読む」に訴えかけるものがあります。

ECサイトのメディア化とは、この五感どれかに訴えかける伝達手法を取り入れた方法を指します。

ECサイトのメディア化とは

商品を購入してもらうことを主な目的としたECサイトでは、商品数を充実させることが重要とされる傾向がありました。

商品数を増やすことは、ECサイトを充実させるために重要な要素ですが、商品一つひとつの魅力を伝えきれないという欠点もあります。

そこで着目されたのが、「商品紹介」を目的にしたECサイトに「情報伝達」を目的としたメディアを組み合わせる、ECサイトのメディア化という手法でした。

サイト内のコンテンツを充実させて、より詳細でより有益な情報提供を行ない、「商品購入」以外にある潜在ニーズの掘り起しまでが目的とされています。

また、継続的な有益情報の発信は、固定顧客・リピーターの獲得にもつながると言われています。

従来のECサイト

従来のECサイトでは、SEOやリスティング広告など、あらゆる手法で集客をしてきました。

しかし、せっかく集客しても商品購入に結びつかないと意味がありません。

買いたい商品が決まっていれば、写真と商品紹介だけで購入されますが、ウィンドウショッピング感覚のユーザーには、購買意欲を高めるのには情報不足という欠点がありました。

その欠点を補い、大きな利益を生み出すための手法がECサイトメディア化になります。

ECサイトをメディア化する狙い

スマホで買いものをする人の手

ここまでは、ECサイトをメディア化する背景をご説明してきました。

次は、ECサイトのメディア化に期待できる効果の具体的な解説にはいります。

ユーザーの商品に対する理解が深まる

従来の写真と商品詳細にとどまらず、商品がつくられた背景や活用術まで紹介できれば、購買意欲を高めることにもつながります。

これは、同業他社の類似商品との差別化を図るうえでも役に立ち、間接的に感じていたユーザーとの距離感を縮めてくれることにもなります。

ユーザー視点でも、販売者の顔まで見えてくるような直接的な距離感になり、商品に対する深い理解が期待できます。

SEOの効果が上がる

メディアコンテンツを充実させることが、商品検索でアクセスしてくるユーザーの継続的なアクセスにつながり、結果として相対的なSEO効果のアップにつながります。

SEO効果が上がると、キーワード検索による上位表示につながり、長期に渡る広告効果にまで期待が持てます。

CPA(顧客獲得単価)を下げる

商品紹介のみにとどまっているECサイトでは、商品検索に対応したSEOや費用をかけたリスティング広告に都度都度経費が発生します。
これにより、CPA(顧客獲得単価)は上がる一方でした。

それに対して、メディア化によるコンテンツの充実は、ユーザー評価のみならず検索エンジンの評価にまでつながります。

広告費を削減してもサイトへの流入が増えるので、CPA(顧客獲得単価)下げる効果となります。

ECサイトのメディア化で想定されるハードル

大きな岩を担いで山を登る人

ECサイトを運営することと、メディアコンテンツを作成することは、本来の目的が異なるので制作過程が変わってきます。

次は、ECサイトのメディア化で想定されるハードルを解説します。

専門知識を持った担当者が必要

コンテンツ作成には、ECサイト運用とは全く異なるスキルが必要になってきます。

既存スタッフに適任者がいれば担当者として任命することになりますが、そもそも一人で回せる業務範囲では収まらないでしょう。

担当者を決めて新たに部署を立ち上げるか、ノウハウを持った外部業者に運用を発注するのが選択肢となることが多いです。

専門知識を持った担当者の選出が、最初のハードルとなります。

広告よりも効果が分かりにくい

ECサイトを運用する際の広告には、リスティング広告・SNS広告・ディスプレイ広告などがあり、それらの共通の特徴として「ユーザーの反応がダイレクトに分かる」メリットと「CPA(顧客獲得単価)が上がる」デメリットの2点がありました。

ECサイトをメディア化することで、CPA(顧客獲得単価)を下げる効果は期待できますが、広告に比べて効果が出るまでに時間がかかり、ユーザーの反応も実感しづらい面があります。

ECサイトを長く運用していると、ダイレクトな反応に慣れているので、PDCAサイクルのスパンの違いに最初は戸惑うかもしれません。

効果がわかりにくいことに慣れる必要もあります。

成功事例から見るECサイトメディア化のポイント

指をさした先にPOINTの文字

ECサイトがメディア化される理由や狙いが分かったところで、実際にメディア化が成功した事例からポイントを見ていきましょう。

メディア化するときに、どのようなコンテンツを選んで、何を前面に押し出すかは、自身が扱う商品とターゲット層によって変わります。

ライフスタイルがイメージできるコンテンツ

まずは、輸入雑貨を扱うECサイトがメディア化に成功した例です。

このサイトでは、「生活が想像できる」コンテンツ作成をコンセプトに、楽しく読める雑誌のような記事を載せるメディア化の手法を選択しました。

通常の商品紹介と雑誌のような記事を組み合わせた結果、それを読んだユーザー自身が自分の生活に置き換えたイメージにつなげて、購入するに至っています。

記事には、「~を使った夕食」や「週末に~を使って」などがあり、できる限り日常生活に密着した内容のコンテンツになっています。

「雑貨」を購入するターゲット層の、購買意欲を上手く引き出した好例になってると言えるでしょう。

知識を提供するコンテンツ

商品についての情報を載せるばかりが、ECサイトのメディア化の手法ではありません。

ユーザーが「知って得する」と思えるような豆知識を掲載して、売り上げにつなげた例もあります。

シャンプーや石鹸をメインとしたECサイトですが、記事ページと商品ページを完全に分けたうえで、女性をターゲットとして美容に関する情報に特化した記事を掲載しました。

石鹸やシャンプーの原料の話題や成分の効果、食生活に関する内容や生活習慣まで、直接商品と関係があってもなくても、女性が興味を持てそうな情報を充実させるようにしました。

結果は、情報目当てで訪れていたユーザーも、徐々に顧客へと移行していったそうです。

商品よりも、まずはサイト情報のファンになってもらうことを意識して成功した例になっています。

動画掲載で使用時の臨場感を伝えるコンテンツ

最後は、レディースファッションアイテムを扱うECサイトのメディア化事例です。

服や靴を購入するときに、実店舗ならほとんどの場合は試着できるようになっているので、身に着けた感覚を確かめてから買うことが多いと思います。

ECサイトでは、近くに欲しい服が売っている店舗がなくても、ネット上で探せる利便性がある反面、着たときの自分をイメージしにくいデメリットがありました。

そのデメリットを埋める手段として、動画コンテンツでのメディア化を選択しました。

写真や文章だけでは、身に着ける商品の魅力を伝えるのに限界があります。

そこで、「手に取って知りたいことを伝える動画」をコンセプトに、着用する姿や街を歩いている姿など伝えきれていなかった情報を動画で表現しました。

結果として、売り上げがアップしただけではなく、返品率も大幅に下がったそうです。

ECサイトメディア化までの流れ

記事コンテンツを使ったメディア化と、動画コンテンツを使ったメディア化の成功事例を紹介しました。

事例から見る成功ポイントはわかりやすいですよね。

ここからは、実際の制作の流れとポイントを解説していきます。

メディア化までの大まかなステップ

「ECサイトをメディア化しよう!」と思っても、何から始めれば良いかわからないと思います。

大まかな流れとしては、下記のようになります。

1. メディアのターゲットを決める
2. どのようなメディアを運営するか決める
3. コンテンツを作成する
4. コンテンツを公開してPDCAをまわす

見込み客を増やすためにECサイトをメディア化することを前提とすると、ターゲットは商品のターゲットと重なりますが、ポイントは、ペルソナを設定をして、よりターゲット像の解像度をあげることです。

記事でも動画でも、「誰かひとり」のために作られたものは、しっかりと届きます。
「みんなに見てほしい」と思って作ったものは、誰のところにも届かないものです。

コンテンツの作成は外注化する場合が多いでしょう。
メディア化にどれほどの効果があるかを検証するためには、コンテンツの量が必要です。

オウンドメディア化で得られる効果と注意点

オウンドメディアとは、自社の情報発信をする媒体のことですが、ここでは記事コンテンツでメディア化することと同じ意味と解釈してください。

オウンドメディア化の一番のメリットは、ユーザーが流入してくる入り口が複数できる点にあります。

前述したSEO効果で、検索上位になれば、商品検索だけでなく記事そのものの検索がされることになります。

商品の説明以外の関連情報も充実していれば、今までなかった検索ワードでの流入まで見込めるようになります。

注意点としては、商品を売ることを目的としたECサイトに、「情報発信」という別の目的を組み合わせているという事実を忘れないようにしましょう。

情報発信は、情報を伝えることに注力して、売ることまで考える必要はありません。

「役に立つ情報」そのものがリード獲得(見込み客)につながり、購入するにまで至ります。

ECサイトとオウンドメディア、それぞれの役割と目的をはっきり認識することが大事になってきます。

動画コンテンツの活用

動画コンテンツは、記事コンテンツとは全く役割が変わり「リアルを伝える」ことに長けています。

動画には、写真とテキストで伝わる内容の5,000倍の情報量があるといわれています。

5,000文字のテキストも動画なら視覚付き情報になり、静止画写真では分からない質感まで伝わるでしょう。

難点は、クオリティの高い「魅せる動画」を作るには、素人には難しい技術が必要になることです。

ECサイト運用と記事コンテンツ作成に、全く違うスキルが求められるように、動画コンテンツ作成も全く違うスキルが求められます。

ECサイトのメディア化で待つだけのサイト脱却を目指す

売上が上がっていくイメージ

従来のECサイトは、集客に重点を置いて「ユーザーを集めた後は売れるのを待つ」といった「待ち」のスタイルが主流でした。

そのため、潜在ニーズに訴えかける方法の模索が後手になり、相当の販売機会損失があったと予想されます。

今回お伝えしたECサイトのメディア化では、潜在ニーズの掘り起しだけに終わらず、継続的な集客効果やCPAを引き下げる効果が期待できます。

もちろん、メディア化をおこなっただけで効果が出るわけではありませんが、戦略のひとつとして取り入れる価値はあるのではないでしょうか。

この記事が、ECサイトのメディア化への理解と事業拡大に、貢献できれば幸いです。

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