世界的な感染症の流行で行動が制限されたことをきっかけに、私たちの生活様式は一変しました。
いろいろな変化がありましたが、そんな中で利用が増えたのがオンラインショッピングです。
インターネット普及の背景もあり、オンラインビジネスが好調です。
今回は、オンラインで物販をおこなうのに不可欠ともいえる、ECモールについて解説していきます。
目次
ToggleECモールとは?
ECモールとは、「ショッピングモール型ECサイト」ともいわれ、多数のネットショップが集まったインターネット上のショッピングセンターです。
大きな特徴は高い集客力で、昼夜問わず大勢の人たちがショッピングを楽しんでいます。
また、完成度の高いECシステムを使って簡単に商品を販売できる環境があるので、出店者としての利用も年々増加しています。
2種類のECモール
ECモールに出店と大勢のユーザーの流入が期待できるため、出店希望者も大勢います。
ここで大手ECモールの形式を紹介します。
出店スタイルは2種類にわけられます。
マルチテナント型ECモール
マルチテナント型ECモールとは、モール内にネットショップを出店する販売形式です。
店舗の表記は「○○商店モール店」のような形になります。
モール内でショップの本格的な商品ページを作成して、独自のカラーで販売できるのが特徴です。
【代表的なマルチテナント型ECモール】
■楽天市場
個人から中小企業、大手ブランドショップ展開されている、拡張型プラットフォームです。
多様なデザインテンプレート無料提供され、比較的自由度の高い商品ページが作成できます。
■ヤフーショッピング
Yahoo!JAPANが提供するインターネットショッピングモールで、関連サイトに日本最大級のオークションサイトのヤフオク!があります。
マーケットプレイス型ECモール
マーケットプレイス型ECモールとは、モール内にネットショップを開店するのではなく、商品の出品者として販売者情報だけ表記し販売をモールに委託する形式です。
表記は「商品○○:出品者○○」のような形になります。
ショップ展開しない分、初期設定が比較的かんたんで手軽に始められるのが特徴です。
【代表的なマーケットプレイス型ECモール】
■Amazon
世界最大の総合ネット通販会社で、正式名称は「Amazon.com」です。
普段ショッピングで慣れ親しんでいるのは、日本の現地法人アマゾンジャパン合同会社が運営する「Amazon.co.jp」になります。
ECモールのメリット・デメリット
複数あるECモールを一通り見て回れば、買えないものはないほど商品が豊富です。
すでに自社のホームページを持っている企業がECモールに進出することも、珍しくはありません。
ではここで、ECモールのメリットとデメリットを確認していきましょう。
メリット
販売者が一律に享受できるメリットは、下記の4つになります。
1. サイト構築が簡単
完成度の高いプラットフォーム内に、テンプレートが用意されているのでショップ構築が非常に簡単です。
プログラムに関する知識も必要ないので、出店条件さえクリアすればだれでも販売者になることができます。
2. 高い集客力
ECモールそのものに知名度があるので、非常に高い集客力があります。
また、ハイレベルなマーケティングノウハウも有しているので、出店者自身に集客ノウハウがなくても多くのユーザーの流入が見込めます。
3. 高い購入率
ECモールのユーザーには、偶然迷い込んできたような人は少なく、何かしらの目的を持って見にきている人がほとんどです。
また、大半のユーザーはネットでの購入に対して一定の信頼を持っているので、購入率も自然と高くなります。
4. 充実したサポート体制
ECモールでの出店者は、ネットでの販売そのものが初めてという方や、Webの知識もあまり持っていない方が多く存在します。
それでも多くの出店者が継続的な販売活動を続けられるのは、運営側のサポートの力が無関係ではありません。
初心者でも継続して利益を出す方が多いのは、充実したサポート体制の力によるものかもしれません。
デメリット
メリットを最大限に活かすためには、デメリットもしっかり理解する必要があります。
次はECモールのデメリットを2つ紹介します。
1. 価格競争になりやすい
多くのショップが集まり多くの商品を販売していると、同じ商品・類似商品を販売するライバルも多数存在します。
同じ商品が並んでいれば、1円でも安い方を買うのが当然の消費者心理です。
結果、自分の商品を買ってもらうために、安売り商戦が展開されてしまいます。
2. 他ショップとの差別化が難しい
商品ページ作成に自由度があっても、それは運営側が用意したテンプレートの範囲内になるので、他ショップとの差別化を図るのは難しいかもしれません。
キャンペーンや値引き施策も、他ショップと同じ施策を同じタイミングで行うため、差別化まではいきません。
ショップを開店するならどこ?3大モールを比較
多少のデメリットがあっても、ECモールのメリットは捨てがたいものがあります。
次は大手3大ECモールについて、特徴を踏まえて比較してみます。
楽天市場
楽天市場の最大の特徴は「楽天ポイント」にあります。
主軸をインターネット事業に置きながらも、旅行業・金融業・決済サービス・携帯電話事業と、非常に多角的な事業展開をしています。
その全部で、楽天最大の特徴でもある「楽天ポイント」が貯まる仕組みになっています。
貯まったポイントは、楽天関連事業はもちろん、楽天市場で使えることが、ユーザーにとっても出店者にとっても大きなメリットになります。
出店料は必要ですが、独自の商品ページが作れるので、実店舗を持っている方やブランドを所有している方向きのECモールです。
Amazon
AmazonにはFBA(フルフィルメント by Amazon)という、Amazon独自の物流システムがあり、出品者は商品を預けておけば、保管・受注・発送・支払い管理まで行ってくれます。
人を雇うことに比べると、相当な安価で業務の効率化を図れるシステムになります。
Amazonでは、ネットショップを開店するスタイルはとっていません。
Amazonに販売を委託するイメージの販売形式で、商品の登録後は出品者として表記されます。
しかし、Amazonでは「ブランド登録」という制度があり、Amazon内で登録商標された商品は個別の商品ページを作ることができるので、アウターブランディングを考えている方向きといえます。
Yahoo!ショッピング
日本最大級ポータルサイトであるYahoo!Japanが運営しています。
Yahoo!ショッピングも、楽天と同様に、モール内でショップを開店する販売スタイルを採用しているので、いかに店舗のアピールができるかで大きく売り上げは変わってくるでしょう。
また、Yahoo!ショッピングでは外部リンクが設定できるので、自社サイトやSNSの誘導経路として活用されることがあります。
出店料や月額使用料無料の手軽さから、初めての出店先に選ばれる方も多くいますが、多店舗展開を検討する際のサテライトショップの役割も期待できます。
自社ECサイトとの違い
自社ECサイトとは、独自ドメインを使い独自で立ち上げたサイトのことです。
ECモールの対極の位置にあるのが自社ECサイトといえるでしょう。
ECサイトの運用を検討する際には、自社ECサイトが必ずといっていいほど比較検討される対象となりますが、違いを理解するためにはどこを見ればいいのでしょうか。
ここでは、両者の違いを分かりやすく比較するため、成功に必要な要素から「集客」「利益」「ブランディング」の3つの観点から見てみましょう。
集客
サイト運営を考えたとき、集客のことが気にならない方は絶対にいないはずです。
それほど集客は重要な要素です。
【ECモール】
集客を考えればECモールは魅力が満載です。
前述した「楽天市場」「Amazon」「ヤフーショッピング」の名前を知らない人がいるでしょうか。
集客に直結する知名度という点では、ECモールが圧倒的に優位でしょう。
個人でサイト運営を考えたとき、ほとんどの人が知名度ゼロからのスタートになると思います。
同じ知名度がゼロの状態でも、ECモールに出店すれば人は集まってきます。
それほどECモールには集客力があります。
【自社サイト】
集客に関していえば、自社サイトは「どうやってお客さんを集めよう?」と考えるところからスタートします。
SEO、Web広告、リスティング広告、SNSなど、集客方法は豊富に選べますが、集客の知見を持った人材も必要になってきます。
しかし一方では、ルールに縛られない独自の施策ができるメリットもあります。
自社サイトの集客は、担当者の集客センスやスキルに左右されるといえるでしょう。
利益
ビジネスとしてサイト運営をおこなう以上、売り上げより気になるのが利益ですよね。
1,000円で商品を仕入れて売り上げ1,000円では利益が残りませんが、1,000円で仕入れて1,500円で売れば利益が出ます。
この当たり前の理屈が通用するのはどちらでしょうか?
【ECモール】
ECモールで1,000円で仕入れた商品を1,500円で売ることは何の問題もありません。
買う人が居れば売ればいいだけのことです。
しかし、ECモールには「価格競争」が存在します。
これがデメリットの一つでしたね。
価格競争が起こる理由は簡単で、ライバルがたくさんいるからです。
人気商品があっても、必ずしも利益につながるとは限らないのが、ECモールの弱点ともいえるでしょう。
【自社サイト】
サイト内にライバルの存在がない自社サイトでは、価格競争を気にすることはなくなります。
ECモールに来る人は「安く買えるものを探しにきた」という感覚に対して、自社サイトに来る人は「買いたい商品があるからきた」という感覚の人が少なくありません。
「高いか安いか」より「欲しいか欲しくないか」を優先するユーザーが訪れるのが自社サイトになります。
ブランディング
ブランディングとは、ユーザーに与える信頼に価値を見出しでもらうことを意味します。
今回の比較では「独自性」や「オリジナルカラー」と言い換えた方が分かりやすいかもしれません。
【ECモール】
ECモールで独自性を出すのは難しいでしょう。
ユーザーはECモールの知名度(ECモールのブランド力)で訪れる人がほとんどで、その中にあるショップが目当てで来る人は少数派です。
楽天市場のように、比較的オリジナル性のある商品ページが作れるところもありますが、ユーザーは「楽天の中にあるショップ」という意識が強いでしょう。
それでもECモールの参加者が絶えないのは、捨てがたいほどの高い集客力があるからです。
【自社サイト】
自社サイトの一番大きなテーマがブランディングかもしれません。
最初こそ集客方法で試行錯誤の時期は避けられませんが、ブランディングができればユーザーは自然に集まります。
自社ブランドが作りやすいのが、自社サイトの最大の魅力でしょう。
しかし、そこに行きつくまでに高い運営センスが求められます。
ECモールと自社サイトは、違いはあっても優劣はありません。
事業拡大方法の一つに、「ECモールと自社サイト」の同時運用をする人も少なくないです。
特徴を理解して自分に合ったモールを選ぼう
各ECモールも自社サイトも、それぞれメリット・デメリットがあり、特徴を把握することが重要です。
そのうえで、自分の扱う商品やターゲットに合わせて、どのように展開するかを選べると良いですね。
「どこが売りやすいモールか」ではなく、「どこが自分に合っているか」を考えることが、成功への近道です。
また、ひとつの方法に決めなければいけないというわけでもありません。
・まずは出店しやすいECモールを利用してみる
・すでにSNSにフォロワーがたくさんいるので自社サイトを立ち上げてみる
・複数のECモールを併用してみる
戦略はひとによって様々です。
「これが正解」というものはありませんが、「結果が出やすいやり方」は存在します。
まずは自分の向かいたいゴールにより近い人を見つけて、真似してみると良いでしょう。
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