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新規事業開発に必要なプロセスとは?成功に導くマネジメント方法も解説

新規事業開発は企業の中長期戦略における重要な課題です。

ただ新規事業を立ち上げるにあたり、どのようなプロセスをたどりマネジメントしたらよいのか分からない方もいるでしょう。

この記事では新規事業開発の進め方を解説します。

この記事を読むことで、事業の立ち上げに必要な知識を得て、成功に導く道筋が見えるでしょう。

新規事業開発とは

新規事業開発とは、企業における新しい事業を構築することです。
事業化に必要なヒト・モノ・カネ・ノウハウがない状態からのスタートとなるため、難易度が高く、労力・時間がかかるといわれています。

ただ企業の未来の屋台骨となりうる事業の開発は、やりがいのある業務といえます。

新規事業開発に求められていること

企業はなぜ労力・時間をかけ新規事業の開発を行うのでしょうか?

企業の既存事業は永遠に成長できません。
安定期を経ていずれ衰退します。

途中で競合が出現し競争が激化するかもしれません。

企業が継続的に利益をあげ存在し続けるためには、常に新しいことにチャレンジし、イノベーションを起こしながら成長していかなければなりません。
そのエンジンになるのが新しい価値の創出(新規事業の開発)なのです。

新規事業開発の事業化プロセス

木片を積み上げる手

ゼロからビジネスを構築するには、ヒト・モノ・カネ・情報・アイデアを活用し、全体を俯瞰しながらプロジェクトを推進する必要があります。
ここでは、新規事業開発の進め方を解説します。

コンセプトの開発

新規事業化を実現するにあたり、まず必要なのが事業コンセプトを決めることです。
コンセプト決定のプロセスは以下のようになりますが、事業の根幹となる部分なので慎重に決定しましょう。

・情報収集
・アイデア出し
・事業分野の検討
・撤退リスクマネジメント
・理念・ビジョンの明確化
・新規事業の最終決定



【情報収集】
新規事業開発は新しい分野で事業化するだけでなく、既存事業に付加価値をつける場合もあります。

あらゆる可能性を探るためにも、以下の各項目の情報を収集し現状を把握しましょう。

・市場動向(業界分析)/トレンド
・自社業績
・自社既存商品/サービスの現状
・競合他社の現状(既存事業動向・競争力など)
・市場の声(口コミ・アンケート・インタビューなど)

これらの情報は新規事業を決定する際の参考になるため、可能な限り多種多様な関連データを収集するとよいでしょう。


【アイデア出し】
収集したデータを参考に事業案を考えますが、データに偏重しすぎると目新しいアイデアが出ない可能性があるため、まずは自由にアイデアを出します。

その中から関連性のあるアイデア同士を組み合わせたり、既存事業との組み合わせを模索したりして具現化していきます。

どうしてもアイデアが出ないときは、「収集したデータが何を意味しているのか」を考えることでアイデアを膨らませる方法もあります。

また自社のリソース・既存事業を考慮しながら、以下の観点から検討することも可能です。

・既存事業に付加価値をつける
・既存事業と関連性がある
・既存事業と既存事業の隙間の事業

データ・既存事業を考慮しすぎると自由な発想でのアイデア出しが難しくなってしまうため、まずは自分の希望・不満など身近なところから考えてみるのもよいでしょう。


【事業分野の検討】
5W2Hのフレームワークを活用してアイデアを具現化します。
5W1Hは英語のWhen・Where・Who・What・Why・Howの頭文字で、それにHow muchを加えたのが5W2Hです。

このフレームワークを使い「いつ、どこで、誰に対して、何の事業を、どうして行うのか?」「どうやって、いくらで実現するのか?」を検討することで、ターゲットの人物像・事業化のコンセプト・市場でのポジショニング・想定コストなどを明確にできます。


【撤退リスクマネジメント】
事業の立ち上げにあたり、客観的に状況を判断したリスク管理が求められます。

開発段階で事業化の目途が立たないままコストが膨らむ事態を避けるためにも、「コストがいくら以上かかったら撤退」「いつまでに開発が完了しなければ撤退」など、当初の予定から外れた場合の撤退基準をあらかじめ設定しておくとよいでしょう。

開発がスタートしてしまうと、途中で計画をストップするのは至難の業です。
あらかじめ撤退基準を設定しておくことで、損切り・リスクマネジメントの判断がしやすくなるのです。


【理念・ビジョンの明確化】
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を明確にし、新規事業の意義・使命などを明らかにします。

新規事業を通じて社会に対して何を行うのか、つまり価値やビジョンを明文化することで、社内の新規事業に対するベクトルを合わせられる効果があります。


【新規事業の最終決定】
上記のプロセスを経て最終的な新規事業の事業分野・コンセプトを決定します。

コンセプト設計段階で事業の理念・意義・リスク管理方法など詳細まで詰めておくことで、事業化を成功に導くベースを構築します。

ビジネスプランニング

新規事業開発のコンセプト作りが終わったら、事業化に向けた基本的な事業計画を策定します。

具体的には以下のことを行います。

・スケジュールの決定
・工程表管理
・人員体制の構築
・資金計画検討
・運用計画の策定



【スケジュールの決定】
まず新規事業のリリースタイミング(ゴール)を決定します。
その上で全体の開発スケジュールを複数の段階(フェーズ)に分け、段階ごとの目標・タスクを設定します。

開発フェーズごとにスケジュール管理することで、進捗・コスト・事業評価が行えるというメリットがあります。


【工程管理】
全体のスケジュールが決定次第、各開発フェーズの詳細を詰めます。

フェーズごとに「実行すべきタスク」「タスクを達成する方法」「タスク達成に向け必要なものが何か」を抽出し、具体的な計画に落とし込みます。

人員計画と共に具体化することで、チームメンバーのフェーズごとの行動計画としても活用できます。


【人員体制の構築】
工程管理と同時に作成します。
各フェーズのゴールに向け、誰が・何を・いつまで・どこまで実行するのかを決め、工数をもとにメンバーの確保を行います。

無計画に人員を増やしてもコストが増加し作業が非効率になる可能性があるため、適正の見極めが重要です。

また社員それぞれに得手不得手があります。
人材を配置する際にはプロジェクトリーダーは、コストだけでなく適材適所の人材配置に努めましょう。


【資金計画検討】
ビジネスプランニングにおいてもっとも重要なのが「資金繰り」でしょう。
事業開発における発生する費用と償却についての資金計画を作成し、以下の事項を計画書にまとめておきます。

・開発フェーズごとの必要費用(人件費・開発費・システム費用・諸経費など)
・資金調達の方法
・事業化後の資金償却方法
・資金償却期間

資金計画は状況に応じて数パターン作成しておきましょう。
資金繰りが最悪のケースで推移した場合の撤退基準になるだけでなく、順調な場合は新たな事業を付加するなど、次のアクションの判断基準になります。

運用計画策定

事業開発を行う際には立ち上げ計画のみならず、事業化後の運用についてもあらかじめ検討しておきましょう。

途中で市況が変わる可能性はありますが、中期的なスパンで下記の計画を練っておくことでスムーズに事業を軌道に乗せられるでしょう。

・需要予測
・資金償却
・人員計画
・人件費
・仕入れ/在庫計画
・営業/販売計画
・売上/利益計画
・キャッシュフロー

杜撰な計画だと運用後に資金繰りに窮したり、社会的信用をなくすといったリスクが発生しかねません。
あらかじめ詳細まで策定しておくことが重要なのです。

新規事業開発をマネジメントするポイント

新規事業開発のメンバーには高度なマネジメント力が求められます。
ここではマネジメントに必要なスキル・資質をご紹介します。

コストコントロール

新規事業をマネジメントするにあたりコストコントロールは大切なスキルです。

開発全体のコスト・フェーズごとのコストの進捗を管理することで、「当初の予算に対して順調に推移しているか」「乖離がある場合の原因は何なのか」といったことを把握し、予算通りに進むよう修正を加えます。

コストコントロール能力の有無により、リソースの適正配分・開発スケジュールなどに影響するだけでなく、事業全体の進捗にも影響しかねないため、プロジェクトメンバーにはもっとも重要なスキルといえるでしょう。

チームメンバー構成

企業の経営幹部クラスがプロジェクトリーダーとなり、その下に現場を管理する管理職・さらに各部署からの精鋭を配置するのが、一般的な事業開発のメンバー構成とされています。

既存事業の延長で事業を立ち上げる場合は、熟知している担当部署の人員を増やしたり、新しい事業分野にチャレンジする場合は、部署横断型で編成したり、プロジェクトの内容により適材適所で人員を配置します。

ただ新規事業開発ではタスクを期日内に完了させることを求められるため、責任感が強く着実に業務をこなせる人材やリーダータイプの人材を配置するとよいでしょう。

スピード感

市況は日々変化し、そのスピードが早くなっています。
競合他社が、自社と同様のアイデアで参入を検討している可能性もあります。

そうした変化に対応するためにも、スピード感を持って準備を進める必要があります。
作業・意思決定など各プロセスのスピードを上げ効率よく進めていくことが、事業化成功への鍵といえるでしょう。

社内調整力

既存事業との利益相反など、新規事業開発には不測のトラブルはつきものです。
そうした事態に適切に対処するため、社内調整力・コミュニケーション能力は必須のスキルです。

他部署への進捗報告を定期的に行うなど、普段から情報共有を徹底することで、いざというときに相互理解・協力ができるような関係を構築しておきましょう。

データ取集・分析

新規事業開発ではデータの収集力・分析力も必要なスキルです。

事業化に向け市場動向や規模・競合動向・自社リソースなど必要な情報を収集しますが、新規参入だと自社にデータが蓄積されていないことがあります。

そうした場合、外部ソース・マーケットリサーチ・他社とのコネクションなどあらゆる手段を駆使して、データを収集する力が求められるのです。

集めた膨大なデータを理論的思考で冷静に読み解く力も必要です。
「どうしたら自社の新規ビジネスが成功するのか」「成功の確率を上げる方法があるのか」など、あらゆる角度からデータを分析し仮説を導き出します。

幅広い知見でデータを集める力、それを冷静に分析する力が事業化への第一歩といえるでしょう。

まとめ

企業の新規事業開発は試行錯誤しながら進めていく必要があるため、多大なエネルギーと時間を必要とします。

しかし、任された以上、プロセスはどうであれ必ず事業化を実現しなければなりません。

スピード感を持ちつつポイントを押さえたマネジメントを行うことで、企業の新規事業開発を成功に導いていきましょう。

新規事業開発のアイデア出しについては、こちらの記事を参考にしてください。
『新規事業立上げのアイデアの出し方は?』

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