急激な社会変革に対応すべく企業の新規事業の立ち上げが急務になっています。
ただアイデアが思いつかず、計画が進まないこともあるでしょう。
この記事では、新規事業の立ち上げの考え方・アイデア出しに使えるフレームワークなどを解説します。
この記事を読めば、スピード感を持って事業化を進めるためのアイデア出しの仕方・発想方法などを身につけられます。
目次
Toggle新規事業のアイデア出しの考え方
市場が既に成熟した業界では、目新しいアイデアで新規事業を立ち上げることは容易ではありません。
ここでは新規事業のアイデアを生み出す際に検討すべきポイントを解説します。
日常生活の不便に目を向ける
新規事業のアイデアを検討する際には、まず自分や自分の周囲に目を向けます。
日常生活での不便・悩み・便利なことなどを洗い出し、その原因や解消する糸口を探ることで新しいビジネスのアイデアを検討します。
便利グッズなど、実際に身近の不便を解決することで爆発的ヒットになったアイテムもありますが、万人が不便だと認識しているものの事業化されていない場合は、コストなど必ず原因があるため、情報収集するなど深掘りして調査・検討するとよいでしょう。
案外身近なところにアイデアのベースが転がっているものです。
世の中の流れに注目する
新聞やインターネットなどで世の中の情勢に目を向けることで、新しいビジネスのアイデアを生み出せる可能性があります。
昨今のライフスタイルの変化でフードデリバリービジネスが躍進したように、その時々で世の中のニーズが変化します。
円相場・消費者物価指数・街の声などを意識し、世の中の変化を敏感に察知することで、変化に合わせたアイデア出しが実現します。
それを他社に先んじて具現化できれば、市場で優先的地位を得られるかもしれません。
新しいビジネスチャンスを獲得するためにも、世間へのアンテナを張り巡らしておきましょう。
自社の強み・弱みを分析する
新規事業を生み出すための近道は、自社・自社商品/サービスの長所・短所を正確に知ることです。
市場で受け入れられている要因や欠点などを整理し、より良くする方法を検討します。
その改善のプロセスの中に、新規事業のアイデアが眠っているかもしれません。
顧客のコメントも重要です。
自社商品やサービスへの不満だけでなく、改善要求なども、アイデアの宝庫といえます。
自社が培ってきた技術・ノウハウに目を向けるのも有効です。
自社では当然だと思われているノウハウが、競合他社に対して優位性を確保している可能性があります。
一方社内で埋もれている技術が、他の分野で活かせるかもしれません。
自社に蓄積されている資産を再確認することが、新規事業立上げの近道になるかもしれないのです。
競合他社の強み・弱みを分析する
新規ビジネス立ち上げのアイデアを出すためには、自社だけではなく、競合他社の商品やサービスの長所・短所を分析するとよいでしょう。
競合の商品やサービスが優れている点(仕様・価格・汎用性など)を検証し、自社が参考にできること・対抗できる手段を考えます。
自社のまったく別の技術が使えるかもしれないので、双方の事業分野を比較しておくのも一案です。
競合への対応策に新規事業のアイデアが眠っている可能性があるため、積極的に競合研究を行うことをおすすめします。
既存ビジネスの付加価値を検討する
既存のビジネスをアップグレードする方法を検討するのも、新規事業を立ち上げる一助となります。
事業が好調に推移しているときは新たなチャレンジへの着手が後回しになりがちかもしれませんが、市場のニーズは刻々と変化します。
ニーズが変化してからの対応では後れを取ってしまうため、好調に推移しているうちに既存ビジネスの理解を深め、その汎用性・付加価値を検討しておきましょう。
既存ビジネスに何を付加したら新規マーケットを開拓できるのか・リニューアルするならどんな方法かなどを検討することが、新たなビジネスを生み出すチャンスといえます。
ペルソナを設定する
新規事業の典型的なユーザー像であるペルソナを設定することで新規事業のアイデアを検討します。
ペルソナの設定により、ターゲットのユーザーが欲している商品/サービスが何か・日々の不満は何か・どんな欲求があるのかなど、ターゲットの人物像だけでなく行動・思考をより具体的にできます。
そうしたターゲットのニーズを満たす商品やサービスを検討・分析することで、新規事業立上げのアイデアとなるのです。
ペルソナは以下の各項目を基本に検討すると設定しやすいでしょう。
・氏名
・年齢
・性別
・職業(自営業/会社員)
・収入
・家族構成/家族の年齢
・住まいの地域
・住居区分(戸建て住宅/マンションなど)
・間取り
・趣味
・好きな食べ物/嫌いな食べ物
・モットー、ポリシー
新規事業のアイデアが思いつかない時に使えるフレームワーク5選
「考え方の枠組み」を行うフレームワークは、アイデアの検討・整理に有効な手段です。
ここでは新規事業案が思いつかない時に使える代表的なフレームワークを5つ紹介します。
マンダラート
マンダラートは仏教の曼荼羅模様に由来するチャートです。
アイデアを整理し、関連するアイデアを深掘りする際に使います。
【作成方法】
・3×3の9つのマス目の真ん中にテーマ(基本アイデア)を記入
・周囲の8マスにテーマ(基本アイデア)に関連するアイデアを記入
・周囲の8マスに記入したアイデアの中から、さらに検討したいアイデアを1つ抽出
・別の3×3のマスの中心に抽出したアイデアを記載
・その周囲8マスに関連する8つのアイデアを記入
・上記を数度繰り返す
上記を実行することで、最初のマスのテーマを中心としてアイデアを広げられます。
関連性のあるアイデアを幅広く検討しつつ、ポイントとなるアイデアを深掘りできるマンダラートは、すぐに取り入れられる手法といえるでしょう。
5W1H
思いついたアイデアをWhen・Where・Who・What・Why・Howの5W1Hの各要素から検討する手法です。
この手法を実施するとアイデアの目的・ターゲット・必要性を明確にできます。
アイデアを各要素からより具体的に検討することで、より現実に即した新規事業の立ち上げ案になるでしょう。
【5W1H】
・When(いつ)
・Where(どこで)
・Who(誰が)
・What(何を)
・Why(なぜ)
・How(どのように)
KJ法
KJ法は文化人類学者の川喜田次郎氏が著書で紹介した手法。
アイデアを効率よく整理できます。
【検討方法】
・アイデア記入用のメモ紙(付箋)を用意する
・思いついたアイデアをメモ紙(付箋)に1つずつ書き込む
・アイデアが出尽くしたらアイデアが書かれた全メモ紙(付箋)を卓上やホワイトボードなどに並べる
・全アイデア俯瞰し、関連性のあるメモ紙(付箋)同士をグループ化する
・グループ化されたアイデア間の関連性(類似性・因果関係など)を検討する
アイデア量が増加するだけでなく、アイデアを多面的かつ理論的に討論できるようになるため、この手法は複数のメンバーで実施することをおすすめします。
スキャンパー法
スキャンパーは以下の英単語の頭文字で、アイデアを掘り下げて検討する手法です。
アイデアについて7つの質問に回答しアイデアの詳細をつき詰め、具現化を助けます。
【質問内容】
・Substitute(代用する):代用できないか?
・Combine(組み合わせる):他と組み合わせられないか?
・Adapt(適応させる):応用できるか?
・Modify(修正する):修正できないか?
・Put to other uses(その他の使い方):他の使い方はないか?
・Eliminate(取り除く):削減できるものがないか?
・Rearrange/Reverse(再調整する):逆にしたり交換したりできるか?
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)
MVVはMission・Vision・Valueの英語の頭文字です。
MVVを明文化することで、新しい事業を通じて何を行うのか・どうなりたいのか・どのような価値があるのかを明らかにし、社会に対する使命・意義・指針を発信します。
これを行うことで、新しい事業アイデアを現実に近づけることができます。
【MVV】
・Mission(ミッション):社会で実現する使命・実現したいこと
・Vision(ビジョン):目指すべき姿
・Value(バリュー):行動指針
新規事業のアイデア出しを助ける行動
様々な手法を用いアイデア出しを行っても一人で行うには限界があります。
ここではアイデア出しを助ける方法を紹介します。
ブレインストーミングをする
新規事業のアイデアは大人数で検討するほど多種多様なアイデアが生まれます。
それを実現するのがブレインストーミング(ブレスト)です。
複数のメンバーが自由に意見を出し合うことで、斬新なアイデアが生まれやすくなります。
アイデア出し・検討・分析と段階を追って進めるとアイデアの具現化は実現できますが、テーマやルールを細かく設定してしまうと、自由で闊達な意見交換ができなくなる可能性があります。
ブレストは自由なアイデア出しの場なので、発言を否定せずすべて受け入れる姿勢で臨みましょう。
外部のアウトソーシングサービスへの協力要請
新規事業のアイデアが思いつかない場合は、コンサルティング会社など外部ソースに協力を要請するのも一案です。
自社の状況把握や市況・業界動向などを中長期スパンで検討した上で、自社に最適なアドバイスをくれるでしょう。
まとめ
飽和状態の市況の中で、新しいアイデアを出し事業を立ち上げることは容易ではありません。
思いつかないことも多々あるでしょう。
しかし目まぐるしく変化を遂げる昨今、スピード感のある新規ビジネス創出は企業の生命線といっても過言ではありません。
アイデア出し・検討作業のプロセスを経て、事業化に向けて早急なアクションを起こすためにも、その方法・考え方を理解しておくことはとても重要なのです。
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