Amazonや楽天といったショッピングモールで運営している人の中には、自社ECサイトも立ち上げて独自で運営したいと考えている人も多いでしょう。
また、実店舗を経営されている方が、新たな販売チャネルとして参入を検討するケースも増えています。
今回は、個人事業主で新しくECサイトの立ち上げる場合や、法人で試験的にECサイトを構築する場合について、手順や費用を詳しく解説します。
これからECサイトを立ち上げる方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
Toggle最初の構築方法は売り上げ規模に応じて
サイトを構築する際に重要なのは、各サービスの機能や特性、そして「初期費用」「月額費用」「拡張性(カスタマイズ)」を把握して、自社に合うサービスを見つけることです。
まずは、自社の売上規模に合ったシステムから構築を始めましょう。
特にショッピングモールから移行する場合は、集客方法を一から見直す可能性もありますので、売り上げ計画があればそれに沿って考えると良いですね。
今回は、売り上げ規模1,000万までを想定し、比較的小規模な運営から始められる構築方法だけを取り上げて解説していきます。
ASP
「ASP」とは、「アプリケーションサービスプロバイダ」(Application Service Provider)の頭文字を取ったもので、インターネット上で稼働できるソフトウェアを提供してくれるサービスを指します。
ASPの導入には、システム管理の手間がかからないといったメリットがあります。
サーバーメンテナンスやシステムのバージョンアップなどは事業者が実施してくれるので、システム周りの専門意識は必要ありません。
またセキュリティ対策も十分に行われていることが多く、最初の構築方法に向いているといえます。
ASPには、無料ASPと有料ASPがあるので、特徴を把握しながら検討するとよいでしょう。
【無料ASP】
無料ASPは手軽さを一番の強みとしたサイト構築サービスです。
無料で構築できる反面、拡張機能が限られている場合もあり、独自性に限界があるのが難点です。
しかし、専門的な知識はほとんど必要ないので、個人事業主が最初のECサイトとして選んだり、法人のサテライトショップとして活用されている傾向があります。
■無料ASPの代表的なサービス
・BASE(ベイス)
初期費用・月額費用共に無料で、商品販売時に手数料が発生します。
基本的な機能は最低限のため、立ち上げまでの構築まで専門的な知識を必要としません。
稼働後には有料と無料のApps(追加機能)が選択できるので、拡張機能も利用可能です。
・STORES(旧:STORES.jp)
無料プラン(フリープラン))と有料プラン(スタンダードプラン)があり、どちらを選択しても販売手数料が発生します。
豊富な決済が可能なサービスがあり、ネットショップでの支払方法ニーズにマッチした機能といえるでしょう。
有料プランでは1ヶ月の無料期間を設けているので、有料プランの機能を試すことができます。
【有料ASP】
有料と言っても、初期費用や月額費用が1万円以下のところも多く、有料でもリーズナブルな費用設定が強みのサービスです。
本体の拡張機能は、無料ASP同様に限界はありますが、外部サービスと連携して機能充実に積極的な傾向があります。
ECサイトへの本格的な足掛かりに向いているサービスといえるでしょう。
■有料ASPの代表的なサービス
・MakeShop
15日間の無料体験からスタートできます。
専任アドバイザーのSEO支援・多様な決済手段で海外向けサイトも制作できるのが強みです。
BtoB構築支援もあるので、販売経路拡大を考えている方にも向いているサービスです。
・Future Shop2
定期的なバージョンアップやセキュリティ対策の徹底に定評のある優良ASPサービスです。
年商数十億単位の規模にも対応できると謳っており、専任アドバイザーによるサポートを強みとしています。
本格的に取り組みたい方に向いています。
オープンソース
ECシステムの内部構造(プログラムコード)が公開されたオープンシステムを利用して、ECサイトを構築する手法です。
サイトの機能追加や改造できるのがメリットです。
誰でも使える一般公開されたプログラムで、ライセンス費用もかかりませんが、サイト構築にはプログラムに関する知見が必要です。
ECサイトに関する知見がなくても構築はできますが、開発の技術力がそのままセキュリティ面にもつながるので、プログラムに詳しい協力者は必要となります。
■オープンソースの代表的なサービス
・EC-CUBE
国内トップシェアのオープンソースソフトウェアです。
日本企業が運営するECサイトの構築に特化したシステムで、日本語の情報ソースが豊富な点がメリットとなります。
Webに関する知識やノウハウとプログラミングの技術があれば、かなり自由度の高いサイト構築が望めます。
・WordPress
WordPressは世界トップシェアのオープンソースソフトウェアです。
元々はECサイトに対応していませんでしたが、後発でプラグインが続々と開発され、ECサイトとしての構築もできるようになりました。
構築の自由度はかなり高いですが、知識や技術がないと難しいでしょう。
WordPressに特化した制作代行や保守関連のサービスを請け負う業者も多数ありますので、外部発注も視野に入れれば独自サイトも作りやすくなります。
構築方法の選定
冒頭でもお伝えした通り、どのサービスを利用してECサイトを構築するかは、売り上げの規模を基準に選ぶのがいいでしょう。
初めてEC事業に乗り出す方は、売り上げ予想は少なめに見積もることをおすすめします。
集客方法が確定するまでは、どの程度の売り上げを見込めるか不透明な状況が続きます。
上方修正なら嬉しい誤算ですが、大幅な下方修正ではサイトの存続にも関わってきます。
最初は、試験期間を設けるくらいの猶予をもって始動できるサイト構築を計画しましょう。
コストのチェック
コストのチェックは最重要項目の一つです。
たとえ無料ASPを選択して初期費用や月額費用が抑えても、オプションのような形で機能を利用する際に費用が発生することがあります。
例えば、無料ASPで紹介した「BASE」で新たな機能を追加したい場合、簡単なAppsなら無料で取れますが、便利さが増すAppsは有料になります。
有料ASPやオープンソースではさらに経費がかかります。
特に、ランニングコストと不定期に発生する費用は要チェックです。
サービス内容のチェック
標準機能と拡張機能のチェックです。
ここで重要なのは販売に関わるフロントエンド機能と、受注や在庫管理に関わるバックエンド機能のチェックです。
・分かりやすいシステムか?
・共有は可能か?
・ほかのサイトと連携した一元化か可能か?
上記のように、先を見据えた観点でチェックするようにしてください。
セキュリティのチェック
ショッピングモール型なら意外と気にしていなかったセキュリティも、自社でECサイトを立ち上げる場合は重要なチェック項目になります。
特に、自由度が高いサイトほど、セキュリティやメンテナンス管理も自己責任の範囲が広くなってきます。
インフラ部分、システムを提供しているベンダー内のセキュリティなどは、大切なチェックポイントになります。
サポート体制のチェック
通常サポートはどこのシステムを使っても受けられますが、サポート内容以上に「サポート体制の人的リソースは万全か」が重要になってきます。
問い合わせをしたときに即日で回答をもらえる体制なのか、回答に2~3日待つのが日常的なのか、それだけでもかなり違いますよね。
サポート内容と同じくらい、サポート体制に気をつけるようにしましょう。
オープンに向けた作業
自分でECサイトを構築していくときは、選択をする場面が多々あります。
これからECサイトを立ち上げる方の一番最初の選択となるであろう「ASP」と「オープンソース」のどちらを選ぶかについて解説します。
APSを選択した場合
サイトURLを決めてドメインを選択します。
このとき、「独自ドメイン」か「共有ドメイン」かを選択することになりますが、集客や運用面を考えれば独自ドメインが賢明でしょう。
おもにサーバー利用契約に含まれていることの多い共有ドメインでも、サイト自体の運用には差し支えありません。
共有ドメインなら管理も不要です。
しかし、独自ドメインであれば、セキュリティ面ではSSL(データの暗号化)、SEO観点でもHTMLソースコードの調整で内部SEOにも対策可能になるなど、長い目でみればメリットが多いと言えます。
オープンソースを選択した場合
まず、オープンソースを選ぶには、HTMLやCSSの知見があることが大前提となります。
サイトの構築自体はウェブサイトに関する知見がなくてもできますが、業務的な設定は必ず必要になってきますので、技術的な面で問題なくサイトを構築できるかどうかを検討しましょう。
特にフロント部分はユーザーの目に触れる場所になるので、売り上げにも大きく左右します。
また、決済に関する設定も自ら行うことになります。
テスト決済は必要以上に繰り返すつもりでいると良いでしょう。
ECサイトを立ち上げるときの注意点
ECショッピングモールですでにECサイトを運営されている場合、販売だけに集中できていたと思います。
しかし、ECサイトを自分で立ち上げるなら、「管理者」としての視点が必要になってきます。
サイトの運用だけでなく、サーバーに関する知識やプログラム言語に関する知識、さらには画像作成の知識も必要になってきます。
全て専門家並みの知見が求められるわけではありませんが、外注するにしても、最低限の知識があるに越したことはないでしょう。
まとめ
失敗しないためのECサイト作りには、さまざまなポイントについて検討したり、選択したりする必要があります。
ECショッピングモールでのサイト運営でEC販売の経験がある方でも、自社サイトの立ち上げではそれまでのやり方が通用せずに悩んでいる方も多くいらっしゃいます。
専門的な知識の獲得も含めて、しっかりと準備をしてからECサイトを立ち上げると、失敗も少なくなるはずです。
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