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ネット販売にも許可は必要?商材別に必要な許可や申請を解説

「ネット販売で必要な許可ってあるのかな?」
「何か手続きが必要なら知りたい」

ネット販売は、れっきとした事業です。

副業としても気軽に始められるネット販売ですが、物を販売する事業ですので、扱う商品によっては許可や手続きが必要になります。

今回は、ネット販売で必要な許認可申請に焦点を当てて、詳しく解説していきます。

法規制に関わることも多く含まれているので、これからネット販売を検討されている方はぜひ参考にしてください。

ネット販売を始めるときに気をつけること

黒板に文字を書く女性

ネット販売を始めるきっかけは何でしょうか?

実店舗を持つ企業やお店の経営者が、販路拡大の目的でネット販売に進出する場合も多く見られますが、サラリーマンや主婦が副業として始めることも少なくありません。

副業で始める場合、特に注意が必要となるのは、実店舗を持たないという点以外は通常の事業と変わりなく許可の必要な商材が多数あるということです。

許可の必要な商材(商品)を無許可で販売してしまった場合、「知らなかった」は通用しません。
最悪の場合は罰則の対象になることもあります。

たとえ副業であっても、扱う商材が許可の必要なものか必ず調べるようにしましょう。

物を販売する以上、販売者としての責任が課されることを、しっかりと認識しておく必要があります。

ネット販売で許可が必要な商材

この記事では「ネット販売で」と書いていますが、正確には「販売するために必要な許可」ですので、ネット販売だから必要なわけではありません。

ここでは、ネット販売で扱われる機会の多い商材を中心に解説していきます。

中古品

中古品販売は古物として、「古物営業法」に基づいた規制を受けることになります。

古物営業法上の古物とは、一度使用されたもの、または未使用であっても使用目的で購入されたものを指します。

古物営業法では、許可の必要なものと必要でないものの線引きはありますが、継続的な販売が目的なら最初に許認可申請は行った方がいいでしょう。


■許可を必要とする場合
古物を仕入れた後に「販売」「修理して販売」「一部部品を販売」「対価を受け取ったうえで貸し出し」の、いずれかの行為を行う場合。


■許可を必要としない場合
自家使用の品(未使用を含む)を不用品として販売する場合。
無償で譲り受けたものを販売する場合。


■許認可の種類・申請先
必要許認可は「古物商許可証」管轄の警察署で申請します。
申請の際は、下記の取り扱い商材のうち、該当項目を指定して申請します。(複数指定可)

商材項目:衣類、機械工具類、金券類、事務機器類、時計・宝飾品類、自転車、自動車、自動二輪車・原動機つき自転車、写真機類、書籍、道具類、皮革・ゴム製品類、美術品類

参考:警視庁 古物商許可申請

食品

食品は、食品衛生法にもとづいた営業許可に加えて、食品衛生責任者の資格が必要となります。
許認可の要不要を判断する基本的な線引きラインは、製造や加工をするかどうかで決まりますが、扱う品目や自治体の条例によっても判断基準は異なります。

必ず事前に保健所に相談する方がよいでしょう。


■許可を必要とする場合
食品衛生法第51条、第52条で定められた34業種(飲食店、喫茶店、菓子製造業、あん類製造業、アイスクリーム製造業、食肉販売業、魚介類販売業等)のほか、自治体で制定された業種においても許認可が必要。
東京都を例に挙げると、つけもの製造業・製菓材料等製造業・そう菜半製品等製造業などが、これに該当します。


■許可を必要としない場合
生産農家が直送する場合。
スナック菓子や缶詰を開封せずに販売する場合。
弁当・惣菜・パンの完成品を仕入れてそのまま販売する場合。


■許認可の種類・申請先
食品衛生法に基づく営業許可:営業所を管轄する保健所に申請します。
食品衛生責任者:各都道府県の食品衛生協会で資格を取得します。

参考:厚生労働省 食品衛生責任者について

健康食品

健康食品の扱いは一般食品と同じになるので、特に許可は必要ありませんが、注意が必要な種類があるため解説します。

健康食品の中には体の生理機能に対して効果を表す「保健機能食品」というものがあります。

この保健機能食品は「特定保健用食品」「栄養機能食品」「機能性表示食品」の3種類に分けられ、中でも「特定保健用食品」は製造事業者が消費者庁長官の許可をもらったもののみ表示ができます。

販売に関する許可は必要ありませんが、表示に気を付ける商材になります。

医薬品

 
医薬品は、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の通称)で規制されています。

医薬品は直接人の健康に関係する品目であり、使い方によっては副作用のリスクが伴うため、規制の基準も厳しいものとなっています。

医薬品の分類は主に「医療用医薬品」と「一般用医薬品」の2種類で、ネット販売ができるのは、市販薬とも呼称される「一般用医薬品」のみになります。

しかし、他の商材に比べて必要な資格や条件のハードルも高く、薬剤師以外の人が副業で取り扱いを検討するのは現実的ではありません。


■許可を必要とする場合
医薬品は無許可でネット販売できるものがなく、薬局開設許可、医療品販売許可、特定販売(インターネット販売許可)が必要となります。

また、店舗販売業の許可を受けて、週30時間以上営業している薬局の実店舗を開設している必要があります。

さらに、ネット販売でも薬剤師・登録販売者によって適切な情報提供・販売がされるよう定められています。


■許認可の種類・申請先
ネット販売を行う際の申請先は、実店舗のある所轄保健所か、各都道府県の薬事課となります。

参考:厚生労働省 一般用医薬品のインターネット販売について

化粧品

化粧品も医薬品と同じく、販売には薬機法の規制があります。

化粧品販売の許可の要不要に関しては、製造過程や出荷の過程で必要な許可が変わってきます。

また、「化粧品」と「薬用化粧品」に種別が分類され、必要な許可も変わってきます。


■許可を必要とする場合
・製造は自社で販売は他社に委託する場合
化粧品:「化粧品製造業許可」 
薬用化粧品:「医薬部外品製造業許可」

・製造・販売共に自社で行う場合
化粧品:「化粧品製造販売業許可」 
薬用化粧品:「医薬部外品製造販売業許可」

・他社に製造委託したものを自社製品として出荷する場合
化粧品:「化粧品製造販売業許可」 
薬用化粧品:「医薬部外品製造販売業許可」


■許可を必要としない場合
製造許可を持つ業者の製造した化粧品を、改変せずに販売する場合。


■許認可の種類・申請先
保健所、各都道府県の薬事課

参考:厚生労働省 化粧品製造(輸入販売)業の許可申請等について

お酒

お酒の販売に関しては「酒税法」の適用を受けます。

販売出来る酒類は「酒類製造業者(蔵元)が製造・年間の販売量が酒類品目ごとで3,000キロリットル未満のもの」か輸入酒類に限られ、大手酒造メーカーのお酒を取り扱うことはできません。

お酒の販売には細かくいろいろな規定があるので、販売前にしっかりと調べることをおすすめします。


■許可を必要とする場合
基準はアルコール度になります。
アルコール度1%以上の酒類と、アルコールを含む食品も対象になります。


■許可を必要としない場合
アルコールを含むお酒や食品であっても、アルコール度が1%未満であった場合、許可は必要ありません。


■許認可の種類・申請先
お酒のネット販売では、「通信販売酒類小売業免許」が必要になります。
申請先は所轄の税務署になり、販売用の酒類を提供してくれる蔵元の合意書が必要になります。

参考:国税庁 酒類の販売業免許の申請

輸入品

輸入品のネット販売では、許可よりも輸入に関する手続きが多くなってきます。

国内では許可や手続きが必要ない品目でも、他国から入ってくる流通過程の特性上、手続きなしでは入荷さえできないものも多数あります。
一部をご紹介します。

・食品、食器、幼児対象のおもちゃ、酒類
食品衛生法に基づいた検疫検査

・精肉、加工食肉
食品衛生法に基づいた検疫検査と、検査に添付する輸出国政府機関発行の検査証明書

・野菜、果物
食品衛生法に基づいた検疫検査と、検査に添付する輸出国政府機関発行の栽培地検査証明書



中国からの輸入を想定したものではありますが、輸入規制を販売規制についてまとめた記事もありますので、参考にしてください。
『【中国輸入規制まるわかり!】中国輸入仕入れ「ここだけ注意」早見表』

参考:税関 輸出入禁止・規制品目

ネット販売では「特定商取引法に基づく表記」も必須

オンラインショッピング

特定商取引法は、簡単に言うと「消費者の利益を守るため」の法律です。

特定商取引法は、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律です。 具体的には、訪問販売や通信販売等の消費者トラブルを生じやすい取引類型を対象に、事業者が守るべきルールと、クーリング・オフ等の消費者を守るルール等を定めています。

引用元:消費者庁 特定商取引法ガイド

ネット販売(通信販売)に対する規制としては、広告の表示に関するものや、誇大広告を禁止するものなどがあります。
オプトイン規制と言って、あらかじめ承諾していない消費者に対して事業者が電子メール広告を送信するのを原則禁止する規制もあります。

ネット販売を行うEC事業者はこれに該当するため、規定に沿った表記や事業運営が求められます。

ここで間違った表記をしたり、伝えるべき内容を故意に隠蔽したとみなされると、民事ルールに則った対応がなされます。

表記内容は、事業者名から運営責任者、連絡先など購入者に安心感を与えるものです。

「規制があるからやらなければならない」というよりも、お客様に安心して購入していただくために必要なものと捉えて、しっかりルールを守りましょう。

参考:消費者庁 特定商取引法ガイド

商品の表示について

スマホで買いものをする人の手

ネット販売では写真と商品説明が全ての判断材料になります。

誤った説明や誇張された説明は、購入者に間違った情報を与えるとして実店舗でも規制対象になりますが、ネット販売ではなおさら重要な項目になります。

商品によっては表示内容が義務付けられている項目もあり、正しい情報源としての表示が求められます。

たとえば、洋服や台所用品などは「家庭用品品質表示法」が適用され、対象項目によって細かく表示内容が規定されています。
参考:消費者庁 家庭用品品質表示法

許可や資格の取得・表示と同等に、間違いのない表示ができるように取り扱い商材の詳細は調べておきましょう。

ネット販売は開始前の準備が大事

パソコンと段ボール

この記事では、各商材ごとで必要な許可・手続き等から、特定商取引法や商品表示についてまで、ネット販売をおこなう際に必要なことを解説しました。

法律に関わる内容ばかりですので、「難しい」と感じられたかもしれませんが、知らずにルールを破ってしまうと大変です。

ネット販売を開始する前に、法律面の知識も含めて、しっかりと準備をしてくださいね。

知っておかなければならないことはたくさんありますが、ネット販売は日本中を商業圏にして24時間稼働ができるため、ビジネスとしてはとても魅力的です。

中途半端な準備でネット販売が頓挫してしまうともったいないので、まずは取り扱う商材について必要な知識から、少しずつでも身に着けていきましょう。

本業で検討している方はもちろん、副業で始める方にもこの記事が参考になれば幸いです。


今からネット販売を始めようと考えている方には、中国から商品を仕入れてAmazonで販売する形態をおすすめしています。

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